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October 05, 2018

バッド・ジーニアス

年内に公開されるロードショー映画作品に観たいと思えるようなものがあまりなく、何とはなしに何かの映画評で見つけたこの作品。人生初のタイ映画だ。いわゆるクライム・サスペンスなのだが、主人公たちはみな高校生である。中国で実際に起こったカンニング事件をモチーフに、高校生たちがカンニングビジネスにどっぷり漬かっていく様子をスリリングに、でもちょっともの悲しく描いている。主演はチュティモン・ジョンジャルーンスックジン(舌噛みそう)。この作品の最大の発見は彼女である。(ネタバレだが彼女を見ることをお勧めするのであまり関係ないかも)
 

Badgenius

主人公であるリン(チュティモン・ジョンジャールスックジン)が画面に登場した時、正直なぜこんなさえない子を起用したのだろうか訝しんだ。のっぺりした顔だち、スタイルはいいが決して美人ではない(かといって丸っきり不細工でもない、リアルにこんな頭のいい委員長タイプの女子高生っていそうな)彼女が主役である意味を図りかねたのだ。しかし、物語が進むにつれて、彼女の生い立ちや仲間たちの中での立ち位置などがはっきりしてくるにつれ、その容姿と振る舞いはピタッと型(物語)に嵌っていく。そして、その演技の中で、彼女の表情はさまざまに変化していくのだ。自分的にヒラったく言えば安藤サクラと蒼井優を足して2.5で割ったような感じ。どこかにちょっと余白がありながら、演技に凄みのある、まさに好みの女優さんであった。特に目の周りの表情のつくり方が見事で、怒ったり困ったり悲しんだり、本当に表情が豊かで、時々観ているこちらがハッとさせられる。
 
ストーリーは、ちょっとした出来心でテスト中に答えを友人のグレース(イヤッサー・ホースワン)に教えてしまったことから話がどんどん大きくなっていき、リンがカンニングビジネスに手を染めていく。リンが美女であってはならない理由は、特にグレースとの対比によるところが大きい。ここに登場する若者たちは、何かを持っている代わりに持っていないものがある。彼らはそれを相互補完する関係性にある。リンは男の子にモてる容姿も家にお金もない。ただ、唯一優れた頭脳だけがある。グレースは勉強はできないがその容姿でもって金持ちの彼氏がいて、演劇で舞台にも立っている。リンが容姿まで持っていると物語は成立しないのだ。そこでまたなぜチュティモンなのか合点がいくのであった。
 
持たざる者たちのそれぞれの執着がエスカレートしていく(バンク役のチャーノン・サンティナトーンクン=韓流アイドルみたいなルックスながらもねじ曲がっていく優等生を好演)。そして、カンニングという悪事がエンタメに昇華されていき、STICの試験会場でその高揚感は頂点に達するのだ。登場人物の背景がしっかりかつ分かりやすく描かれていて、彼らがなぜそのような行動を取るか腹落ちもいい。さえないくせに、彼女を追いこんだ元凶を作った一因でもあるお父さんが最後良い人になってしまうところが悔しいのだが、シナリオもよくできている。‘ピアノ教室’の伏線の回収の仕方なんて見事の一言だった。
 
タイでもこのようなクオリティの高い映画をつくることができる監督が、俳優が出てきていることに驚くとともに、妙な既視感を覚えるのだった。なんか邦画を見ているような安心感があったのだ。

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