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February 07, 2018

Re:CREATORS

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Re:CREATORS
広江礼威/あおきえい
 
『ブラックラグーン』をほっぽりだして広江氏が没頭していたオリジナル作品。アニメやラノベ、ゲームの登場人物が現実世界に現出して、世界を崩壊へと導く戦いに巻き込まれていくというお話。空想世界が現実化する現代日本というメタ構造のなかで、異なる複数の作品が細部にわたって設定され、またそのキャラクターにもそれぞれの作品世界の背景があり、それが現実(作品の中)の著者作者と絡み合うことでドラマがさらに重層化していく。そういう設定の面白さがまずある。
 
タツノコが自社キャラを集合させた作品をCGでリリースしたが、本作は全く過去実績のない架空の作品を複数このためだけに起こして組み合わせている。その労力たるや数作分のアニメを作っているのと同等と言ってもいいのではないだろうか。この思い付きにつき合わされた現場は気の毒としか言いようがない。だが、それだけの価値はあったように思う。
 
現界するキャラを集めて仲間にしていくところなどは、『七人の侍』的ストーリーで鉄板の進め方。キャラは色々な性格で、作品世界もバラバラとバリエーションが豊富で飽きさせない。その多くは主人公級だが、サブキャラも登場し、それがまたバランスを取りつつアクセントになっている。中盤以降、新しいキャラも現界させ、それぞれの作品の中での因縁を現世でぶつけあうのも、ドラマを盛り上げるのに効果的だった。本作のメインヒロインの一人であるセレジアが、彼女の作品の中で共に戦ってきたカロンと戦い自爆する行は結構ジンとくる。
 
しかし。よく考えられてはいるのだが、一方で話のキーはやはりご都合主義で組まれており、その一点はいかんともしがたい。特に承認力と築城院真鍳は最大のギミックで、これなくして本作は成立しなかった。まぁ、稀代のトリックスター・真鍳ちゃんは真綾嬢が熱演したおかげで相当かわいかったので、展開(物語の収斂の方向性)に違和感を覚えつつも、許してやろうという気になった。本筋である颯太の線は非常に細い。しかし、彼を取り巻く登場人物たちの想いを束ねることによって、メッセージも強くなっていく。
 
そして、作品中の‘作者たち’が登場することで、彼らが‘現実世界の作者たち’の思いを代弁している。一種の自画自賛・自己啓発作品でもある。業界としてブラックだなんだといわれているが、そこに携わる人たちが一人ひとり熱い思いで動いていることを声に出して言いたかったのだろう。しかし、それは受け手にとってはどうでもいい話で、面白ければいい、売れればいい、という現実に抗うにはあまりに脆弱な動機だと思う。そこが前に出過ぎるのは演出上あまり好ましいことではない。まぁ、リアルとフィクションのクロスオーバーは本作の最大の見どころであり魅力でもある。その交差する点をどの角度から見るかによって、人それぞれこの作品の感じ方も変わってくるのではないだろうか。そして、その幅は結構広いと思う。

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