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November 23, 2017

セブン・シスターズ

設定命の話ではあるけれど、それ以上に主演のノオミ・ラパスが一卵性七つ子を演じ分け切っているところが最大の見どころである。確かに同じ顔なのだけれど、メイクやセリフ、仕草によってこれほど個性を描き分けられるとは感心しきり。彼女の演技カタログのような作品だ。(ネタバレ)
 

Sevensisters_2

物語はディストピアSFなのだが、SFというよりは特殊状況下の人間ドラマである。人口爆発により一人っ子政策を徹底するため児童分配局が設立され、2人目以降は冷凍睡眠により未来を待つことになっている欧州が舞台。そんな時代に生まれた7つ子を守るため祖父が取った手段は、7人で一人の人格を演じて生きることだった。つまり、各曜日の名をつけられた7人は、それぞれの名前の曜日にだけ外出を許される。外にいるときは‘カレン・セットマン’という一人の女性になるのだ。七人分の能力を持ってして銀行員となり、エリートの道を進む彼女(たち)。大きな昇進が決まるプレゼンを迎えた月曜日、いつものように〈月曜〉が出勤していくが、夜になっても一向に彼女が帰ってこない。いったい〈月曜〉に何が起こったのか(これが原題)。残った6人は〈月曜〉の行方を追い始めるが、大いなる脅威が彼女たちに迫っていた、という話。
 
〈月曜〉がなぜいなくなったかは、物語を追っていけば自ずと気づく(オイラは一回目の襲撃で気が付いた)はずで、そこかしこに伏線が埋められているので、その照らし合わせが観ていて楽しい。姉妹それぞれに個性があり、表情があり、一方で統合された人格である‘カレン・セットマン’はどことなく作られたアンドロイド的な面持ちで、その描きわけもノオミ・ラパスは難なくやってのける。それも7人分(いや‘カレン’を含めると8人か)である。品行方正で聡明な長女〈月曜〉、引っ込み思案の〈火曜〉、マッチョな〈水曜〉、自由奔放な〈木曜〉、内向的な〈金曜〉、遊び人の〈土曜〉、おとなしい〈日曜〉。これを一人で演じ分けているのだ。同一画面に登場するシーンは当然合成(これがまた自然で画面がしっくりくる。ついついこれが一人であることを忘れそうになる)しているだろうし、薄暗闇のアクションシーンではスタントも入っているだろう。しかし、基本ラパス一人である。この演技力だけでも本作を観る価値はある。特に、子供のころにあった事故から、〈月曜〉と〈木曜〉との間には知られぬ確執があった。その不満が30年の時を経て一気に噴き出した(そのきっかけが恋愛だったというのも実に人間的で説得力がある)ことが事件のすべてなのだが、その2人の‘カレン’のぶつかり合いこそがクライマックスである。
 
作品としては、物語には2つの願いが込められている。一つは人それぞれの個性を大事にする社会への希求。もう一つは、地球に人類が棲み続けるために必要とされることへの気づきだ。人口減少している日本においては、ちょっと実感がわきにくいだろうが、世界人口は確実に増え続けている。そして、それだけの人間を賄えるだけの資源はいつか間違いなく枯渇するだろう。日本が少子化のトレンドを止められないように、早い段階で何かしなければキャリング・キャパシティを超えてしまう。そんな未来に対して、一体誰が責任を持つというのだろう。ラパスの圧倒的な演技力に圧倒されつつ、見終わった後でふとそんなことを考えるのだった。

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