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September 28, 2017

ダンケルク

クリストファー・ノーランの最新作。オスカー最有力の呼び声も高い。ヨーロッパ戦線においても日本人にはあまり馴染のないダンケルクの戦いは、壮絶極まる撤退戦だった。まさしくノルマンディー上陸作戦の真逆を行く。連合国-特にイギリスにとってはトラウマの戦に違いない。それをクリストファー・ノーランは彼独特の構成で壮絶な戦場を切り取って見せる。(ネタバレ)

Dunkirk

この作品に明快な主人公は存在せず、一人の少年兵トミー(フィン・ホワイトヘッド)の脱出行を三つの視点で淡々と追っている。一つは少年兵の視点。一つは兵士たちを救出に向かう民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)。そして、ダンケルクの上空支援に向かう空軍パイロット、ファリア(トム・ハーディ)とコリンズ(トム・グリン=カーニー)の三つである。この三つの視点が時間軸を行き来しつつ一つに繋がっていく。この辺の時間の扱いはクリストファー・ノーランらしい。コリンズが被弾し海面へ不時着するシーンを上空から撮影している画面には、ちゃんとその後救援に向かうミスター・ドーソンの船が映り込んでいる。この同時性、ライブ感には感心させられる。
 
芝居としてのセリフらしいセリフも少なく、リアリティに基づいて場面は構成されている。観客はただただ、悲惨な撤退戦のその現場に放り込まれるのである。ダンケルクの海岸で船を待つ兵士たちの上空からドイツ空軍が爆弾を投下していく。乗船した船に着弾し、船は沈没、桟橋も破壊され、兵士たちは海に投げ出される。上手く出港できたとしても、道中空からは爆撃機、海中からはUボートの魚雷に狙われ対岸に辿り着くこともままならない。そんな絶望的な蟻地獄のようなダンケルクから、無事本国まで逃げおおせたトミーの逃避行そのものがドラマになっている。
 
クロマキーとCG処理を一切しないという、リアルであることに徹底的にこだわった映像は、その轟音とともに迫ってくる。ヘリコやラジコンを駆使して立体的なカメラワークを実現している。それにしても、燃料切れを起こしてペラの止まったファリアのスピットファイアが、ダンケルクの浜辺上空を滑空する姿の美しいこと、この上ない。あのシーンだけでも観た甲斐があると思わせてくれる。作品としてのクオリティは相当高い。

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