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December 01, 2016

2016年シーズン総括

まだ天皇杯が残っているが、来季に向け動き出しているので、とりあえずリーグ戦限定で振り返りをしたいと思う。とにかく今年はJFK期と篠田期とで大きく異なる結果になったわけで、これは前年のフィッカデンティと比較する以前の問題なので、まずはJFKとポストJFKの差を見ていくことで、2016年FC東京の真実に迫ってみたいと思う。
(長いのでたたみます)
 
①監督交代しなくても残留はできた?最初から篠田さんだったら優勝に絡めていた?
両監督の成績は以下の通り。
JFK 7勝10敗5分け 勝ち点26 H4勝4敗3分け A3勝6敗2分け 得点20 失点25 得失点差-5
篠田 8勝2敗2分け 勝ち点26 H5勝1敗0分け A3勝1敗2分け 得点19 失点14 得失点差+5
奇しくも挙げた勝ち点は同じながら、篠田さんは10試合少ない中でやり遂げている。得失点もJFKの負債を完済している。双方の勝ち点化率で見てみると、JFKは39.4%、対する篠田さんは72.2%のハイアベレージをたたき出している。この数字を34試合戦った場合に当てはめると、最終勝ち点はJFK40.2pt篠田73.6ptとなり(折り返しで篠田東京が戦っていない上位は川崎と鳥栖だけなので、そこそこいい数字だと思う)、篠田さんが最初から指揮を取っていれば、今頃浦和とCS決勝を争っていたかもしれない。まぁ、JFKで最後まで行っても残留はできただろうという予測なのが、あのネガティブスパイラルが加速したら、確実に残留争いに巻き込まれていただろう。監督交代のタイミングは妥当だったと思う。それにしても、同じメンバーで戦ってこの結果の差は、監督としての腕の差としか言いようがない。篠田さんが特に素晴らしいのは、無得点試合が0だということ。これはナビスコも含めてだが、完封されたゲームが一つとしてないのはちょっと驚きだ。一方のJFKは完封されたゲームが6つもあり、3~4試合に1試合は点が取れていない。また、完封したゲームはJFK5試合、篠田6試合と、担当したゲームが少ない篠田さんがJFKを上回ってしまった。さらに、逆転されたゲームを見ると、JFK4試合、篠田2試合で担当したゲーム数なりになっている。逆転勝利はJFK2試合、篠田1試合と少なく、カタルシスが得られる劇場型ゲームは通期で少なかったが、篠田さんに代わって昨季のフィッカデンティ的ゲーム運びが復活した印象だ。負けるときは大負けしているのがちょっと気にはなるが、しぶとく勝つチーム体質が戻ってきたのは喜ばしい限りだ。
 
②選手を生かし切れないJFKと適材適所の篠田再生工場
なぜJFKと篠田さんとの間にこのような差が生まれたのかを紐解く上で、一つ大きなポイントは選手の起用の仕方にあるのではないかと思う。そこで、スコアラーとアシストをそれぞれで見てみることにする。
【得点者】
JFK期 平山4点 森重3点 橋本3点 前田3点
篠田期 中島3点 東3点 河野3点 前田3点
【アシスト】
JFK期 バーンズ4 河野3 小川3
篠田期 前田3 中島2 東2 ムリキ2
明らかに異なるのが東と中島の存在だ。篠田さんが主に前線に起用した4人がそれぞれ3点ずつ取って、しかもアシストも固まっている。前線が上手くかみ合って攻撃できている証左だ。JFK期では左の小川が揚げて中の平山やモリゲや前田が決めるというサイド起点の攻めが中心だったことが伺われる(アシストのうちクロスが6回)。 しかし、篠田期もクロスからの得点が7点もあり、決して攻撃が中央に偏っていたわけではない。やはり、東と中島個人のセンスによるところが大きいのではないだろうか。東は相変わらずシュートは下手だが、スペースの入り方が上手く、それが得点やアシストに結びついている感じがする。一方の中島は、狭いスペースでプレーできるし、ドリブルで味方にスペースも作ることができるし、左サイドからの得意のシュートパターンも持っているので、そこを相手DFに意識させることで裏をつけたりもする。相変わらずコンタクトには弱いが、その分スペースを見つけてフリーで受けることがかなり上手くなっていると思う。篠田東京のアタックはこの2人と相変わらずハードワークした河野の3人によって支えられていたといっても過言ではない。惜しむらくは、セットプレーでの得点力がやや落ちた感があり、それはモリゲの後半の得点がPKの1点どまりというところにも表れている(JFK期:CK3点、FK3点→篠田期:CK1点、FK2点)。前半は小川がプレースキッカーとして結構頑張ってくれたわけだが、精度の高いフリーキッカーはまたもや課題として残った。何にしても東の復活は篠田さんの慧眼だ。
 
③結局カウンターチームに逆戻り?
Instat社のデータによれば、東京の通期のポゼッション率は46%で15位だった。この数字は大宮、磐田、湘南よりも低く、残留争いを演じたチームに近い。数字上は明らかにカウンターチームだったということだ。2015年の数字は分からないが、昨年のような戦い方に戻ったというべきだろうか。観ているとそこまで受け身だったとも思えないのだが、JFK期に攻め込まれる時間が長かった印象もあるので、その辺が影響したのかもしれない。方や優勝争いしているチームは軒並みポゼッション率が高く、浦和59%、川崎57%、鹿島53%とポゼッションが高いチームが結局最終順位の順に並んでいる。優勝争いをするためには、自らゲームを主導する立場にならなければだめだということだ。主導権を握れるチーム作りはJFKの目指すところだったが、結局今回も掛け声だけに終わってしまった。篠田さんにポゼッション志向のチームが果たして作れるだろうか。
 
④優勝するにはまず個が頑張らないと話にならない。でも…
このInstat社のデータで、他に個人記録として「パス数」「クロス数」「ドリブル数」「空中戦数」「タックル数」「失点誘発ミス数」「PAへのパス数」という項目がある。クロスやドリブル、空中戦は各チーム入り乱れているのだが、「パス数」と「PAへのパス数」のランキング上位は、上位チームの選手で占められている。このデータから、ポゼッション(パス)しているだけではダメで、いかにPAに侵入できるかというところが得点力に結びついていると推察される。これらのランキングに東京の選手は前田が空中戦で4位に入っているだけで、攻撃陣では他に名前が見当たらない。しかも、ありがたくないことに失点誘発ミスで丸山が14位にランキングされるというありさまだ(ミスランキングにはやはり残留争いチームからたくさんエントリー)。当然戦い方あっての選手たちの動きにはなるのだが、そもそも選手のポテンシャルが最大限引き出せなければ勝てないし、これぐらいの能力が出せない選手層では優勝もおぼつかないということでもある。選手の能力が出ているのに勝てないならば、それは監督の問題だし、選手の能力を引き出し引き上げるのも監督の仕事だ。そう考えると、チームを生かすも殺すも監督次第ということで、やはりサッカーというスポーツにおける監督の比重は相当に重い。
 
来季に向けて、いろいろ潰して行かないといけないことがたくさんある。とりあえず優勝争いに絡むことを前提として、まず最初に取り組むべきことは得点力のアップ以外にない。具体的には2桁得点者を最低2人は作ることだ。今季は前田が6得点でチームトップ。これではいかんともしがたい。浦和は興梠(14)武藤(12)李(10)の3人、川崎も大久保(15)小林(15)の2人(憲剛も9点取っている)。例外的に神戸がレアンドロ(19)、渡邉千(12)、ペドロジュニオール(11)の3人2桁なのに順位は今一ということもあるにせよ、やはり攻撃力がいまいちだった鹿島やガンバや広島は後塵を拝する形になっている。今の守備力を維持しつつ、攻撃力を上乗せできれば、確実に優勝争いはできるはずだ。そういうわけで、大久保が加入するのだが、やはり憲剛がいたからこその大久保であって、果たして東京で誰が彼を活かせるのか。そこはこれからチームを作っていくうえでの大きなポイントになる。
 
次に問題にすべきはその守備力の面。第一に徳永の劣化である。昨年あたりからちらほら感じていたが、今季はそれが顕著になって表れた。怪我も多少は影響していただろうが、往年の堅実なプレーは影を潜め、なんとなく集中を欠くプレーが増えていた。最終的には室屋が入ることで埋めることはできたが、それでも左の小川が事故などもあり先発を外れてからは、左SBとの兼ね合いで拳人と室屋で何とか凌いだという印象だ。駒野が契約終了したことで、左SBの補強は待ったなしの状況だ。本来ならば小川が再び戻ってくることが理想だが、J3でのプレーを見る限り、もう少しかかりそうな気がする。もう一つはCBのバックアップの問題。いまや日本代表CBコンビとなってしまい、ナビスコや天皇杯でCB不在のゲームが増えた。秀人がいれば吉本と組めるが、来季はおそらく秀人はいないので、CBの枚数が足りないのは明らかだ。岡崎と山田が加入するが、即戦力というわけにもいかないだろう。できれば、かつての加賀や平松のようなベテランが控えてくれるのがベストだと思う(今のところCBの補強については話が出てこないのも不気味である)。
 
GKはどうも林が来てくれるようだ。秋元も頑張ってはいたが正直物足りなかった。榎本が出て行ってしまうのはちょっともったいない気もするが、下からたくさん上がってくるので、早く育てることを考えるべきか。特に波多野には期待している。
 
そういえば、外国人選手はどうするのだろう。バーンズは出場機会が減ってしまったので移籍したい口か。チャンスメーカーどまりで、彼も不完全燃焼だった。ムリキはけがの問題はあるにせよ来季もお願いしたいところ。デソンは戻るのか、それともFCソウルあたりに行くのか。ヨンスはいるだろうから、後2枠とすると、ブラジル人CBなんか獲りたいところだ。とにかくチーム的には課題ははっきりしているし、やることは見えているのだから、来季に向けてその方向にあった補強、編成をしてほしいと思う。

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