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April 27, 2016

ヘイトフルエイト

‘Hateful’という言葉に込められた感情が鑑賞後の見る側の気持ちとリンクするか否かでこの映画に対する評価、賛否が分かれるような気がする。一方で、タランティーノ節は相変わらずで、自分も含めた彼のファンにとってはグロい演出、描写もデフォルトであり、ともすると笑うポイントにもなっているから、Hatefulな登場人物たちもみな愛すべきキャラになってしまうのだ。(ネタバレ)

Hateful_eight

ストーリーはどちらかというと舞台向きのような気がした。実際物語の大半は‘ミニーの服飾品店’内で進められており、一種の状況劇になっている。吹雪を避けるために店に閉じ込められた8人それぞれの関係が徐々に明らかになり、惨劇が繰り広げられるといった内容だ。会話劇であり心理劇であり、じわーっとしみてくる作品だ。『ジャンゴ』のようなスカッとしたカタルシスは得られない。ど派手なアクションもない。人が死ぬだけ死ぬので(死にざまは結構グロいし、殺す側にためらいがないのも倫理的嫌悪を引き起こす)あまり気分がいいものでもない。ご親切に謎解きのためのチャプターを用意してくれているので、頭の中がこんがらがることもない。それでも、マーキス・ウォーレン元大佐(サミュエル・L・ジャクソン)が店に起きた異変に早い段階から気づいていたところで(ミニーから店を預かったという‘ボブ’との会話や床板の隙間に挟まったジェリービーンズとか)伏線を共有できれば必ず楽しめるはずだ。紡ぎ出されるセリフのうねりがだんだん心地よくなっていく。ボブが怪しいのは最初からわかっていたが、残り4人(∔1人)全員がグルだったとは予想外。やられました。序盤のお店に入るまでが冗長との評価もあるようだが、だらだらともっていって終盤ぐわーっと持ち上げるのはタランティーノの真骨頂なので、前半のくそったれなやり取りも後半意味を持ってくるから、そのだらだらにしっかり付き合わないと損をする。その意味で、序盤に出てくる‘リンカーンの手紙’(マーキスがでっち上げた偽物)はこの作品のキーとなる存在だ。その手紙の持つ効力と、そこにしたためられている信頼と親愛の大切さを生き残った2人は身をもって多少皮肉まじりに感じるのだ。タラの映画にはいつも何かしら教訓めいたものが隠れている。
 
俳優陣は一癖も二癖もある強者揃い。サミュエル・L・ジャクソンは言うに及ばず、カート・ラッセルの重厚感、ジェニファー・ジェイソンのいかにもあばずれという砕けた演技は素晴らしいの一言。シーンが緊迫するたびに役者それぞれの表情がこわばっていく演技が印象的で、場のひりひりした空気がスクリーンを越えて伝わってくる。脚本と演者の勝利。やはりこの作品は舞台にかけたくなる逸品だ。

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