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September 23, 2014

るろうに剣心 伝説の最期編

原作コミックスの要素(エピソード)を上手く取り込みながら2時間半の尺に再編集・纏め上げたシナリオに拍手。いろいろ突っ込みどころは満載ながら、そんな細かいところは結局どうでもいいと思わせてくれる圧倒的な剣戟アクションにただただ魅入るだけである(薫の出番は相当少ないw)。(ネタバレ)

Photo京都大火編で強引に突っ込まれた四之森蒼紫(伊勢谷友介)だったが、なるほど剣心の成長を促す役どころとして上手く回収されていた。多少冗長とも感じられた冒頭の比古清十郎(福山雅治)と剣心(佐藤健)の奥義伝授エピソードだが、ここを丹念に描くことで、その後の剣心の強さに対する説得性が増すのである。蒼紫にしても終盤の瀬田宗次郎(神木隆之介)にしても、彼らはかつての剣心同様いびつにゆがんだ欠落者なのだ。いくら技巧に優れた者も、その心に弱い部分を抱えていれば必ず破れる。対戦するたびに剣心は彼らに過去の自分を重ねていたに違いない。そして、自分がそうしたように彼等も赦すのだ。人攫いの悪党にさえ墓穴を掘ってやった優しい剣心がそこにいる。コミックスでは淡々と負けた宗次郎だったが、映画版の演出の方が好きだし実感がある。生きていくために感情を殺し笑うことしかできなくなった宗次郎が、剣心との戦いに敗れ泣き叫び悔しさを爆発させたその演出に共感が持てた(神木君もいい演技だった)。

演出はタフで全編緩むところがない。観る側の緊張も続いていくが、それがまた心地よい。剣戟アクションは冒頭の清十郎の圧倒的な稽古から、二刀流の対蒼紫戦、神速の対宗次郎戦、最後の志々雄戦と見せ場は山盛り、かついろいろなパターンが織り込まれており飽きることがない。特に感心したのは、空間に制限があるシチュエーションでの剣戟が多用されていたことだ。障害物があるところでは、刀を思うように振り回すことができない。そんな狭いところでも流れるようなスピーディなアクションが展開されたことに驚きを覚える。俳優陣も極力生身で殺陣に取り組んだらしく(以前テレビで映画の宣伝で佐藤君が出演していて、壁走りは吹き替えなしでやったとか、ワイヤーなしでやったとか、実際刀が当たって怪我したとか苦労話を語っていた)、その努力と気迫は画面から十二分に伝わってきた。また、模造品とはいえあれだけ早く刀を操るには相当の体力がいると思われ、手首も酷使するような振り回し方だから、腱鞘炎にでもなったのではないかと気になってしまう。この殺陣の迫力はやはり映画館の大スクリーンでしか味わえないものだ。

ストーリーとして接合面にどうしても無理が出てしまうのはご愛嬌。コミックスだと十本刀についてもエピソードがあり対決も細かに描かれている。その辺の対決にこだわりのあるファンにはちょっと残念な出来になってしまっているが、尺を考えれば仕方がない。それ以上に、戦艦を決戦場に短縮したまとめ方アイディアは合理的かつ秀逸だと思う(原作はアジトが決戦場かつ葵屋が別働隊に襲撃される展開)。明治政府・伊藤博文が戦艦もろとも志々雄と剣心を海に沈めてしまおうと画策したとか、映画オリジナルの解釈も盛り込んでいるのは、映画版としての独自性と単独作品としての価値を追求した結果なのではないだろうか。その意味で、この映画は単なるコミックス原作の映画の枠を超えているのかもしれない。

武家の時代から新しい明治の世に移り、価値観の転換が求められていた。それはサムライの生死観にも及ぶ。本当の強さとは、死を恐れないということではなく、自分の命の重さと正面に向き合うことなのだ、と。この骨太なメッセージが作品を通じて一貫して流れてくる。作品の時代背景と、登場人物たちが抱える過去やトラウマに対して重層的な解釈を加え、映画版としてのテーマをしっかり据えることに成功しているのだ。一連のコミックス原作映画とは一線を画すこの試みは大いに評価されるべきだと思う。

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