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July 28, 2014

オール・ユー・ニード・イズ・キル

原題は『Edge of tomorrow』。桜坂洋原作のタイムリープSF。邦題が小説の題名になっているという逆転現象がおもしろい。それにしても、‘繰り返し’はちょっとしたブームなんだろうか。『未来日記』の1周目2周目から『まどか』や『ハルヒ』(これはループとトラベルか)のような数え切れないほどの繰り返しまで、いろいろな捉えかたはあるけれど、本作は言ってみればリアル版アドベンチャーゲームなのだ。プレーヤーがいろいろな分岐点でルートを選択し、異なるエンディングにたどり着くというあれ。トゥルーエンドを目指して、プレーヤーは何度も何度も繰り返し、分岐点を行ったり来たりする。ただ、セーブができるゲームと違い、この映画世界では全てが一度リセットされてしまう設定だから、最初からやり直さなければならないのだ。(ネタバレ)

Edge_of_tomorrow謎の侵略者「ギタイ」の攻撃によって地球は壊滅の危機に瀕していた。意に反して最前線に送り込まれることになったケイジ少佐(トム・クルーズ)は、戦場で敵の1体を倒しながらも殺されてしまう。しかし、次の瞬間、彼は出撃前の前線基地で目を覚ます。そして昨日起こったことが目の前で再現される。これは夢なのか、それとも死んだことが夢だったのか。とにかくその日は繰り返され、結局戦場で彼は再び死ぬ。そしてまた基地に戻る。導入では、この基本ルールを分かりやすくテンポよく見せてくれる。観る側が理解したところで、話はタイムリープ現象を体験したリタ軍曹(エミリー・ブラント)らとともに敵をどうしたら倒せるかという方向に徐々にだが加速度的に進んでいく。

観客は、何度も間違えトゥルーエンドを探りながら分岐を進めるゲームを映像上疑似体験できる。リタがケイジを訓練するときに畳み掛ける‘リセット’の演出、映像の組み立てなんかは非常に見事だ。しかし、話が進むたびに、その更新された部分から=言ってみればセーブされたところから進むようになるので、話は直線的に(細かな行きつ戻りつはありつつも)繋がって見えるのだが、‘作品世界における現実’では、(危うく忘れそうになるのだが)そこに至るまでには基地で目覚めてからの話が全て下敷きになっている。問題はこの部分で、記憶を保ちながら、同じ話をトゥルーエンドに向けながら補正していくことを数百回、何千回も続けなければならないという苦痛が、ケイジ=トム・クルーズの演技からほとんど伝わってこない。前線に立ちたくないという理由でメディア担当官の道を選び、上官からの戦地へ赴く命令も命惜しさに拒否した人間が、繰り返される過酷な現実とまともに向き合えるだろうかというそもそもの疑念が持ち上がる。普通どこかで折れないか?最初は腰抜けだったケイジも戦いを繰り返すほどに逞しくなっていくという流れは、それはそれで面白いのだけれど、何か根本のところで欠け落ちているがために物語自体に残念ながら深みがないのだ。この作品のテーマは何なんだろうと振り返ると、今一よくわからないのだ(ケイジのリタに対する感情がひとつのキーなのは分かるけれど、伏線もなく盛り上がりにも欠け、そうなるとそこじゃないんだろうなということになってしまう。もっと演出の仕方、描きこみ方はあったはずだ。ラスト1シーンで済ますのはあまりに軽すぎる)。

前半戦、現実の修正に何回も時間をかけた割りに、タイムリープ効果が切れた最終局面=一発勝負の1日でそこまでのラッキーはないだろうというぐらいやってしまうのはご愛嬌。さらにエンディングで全てをリセットしまうご都合主義も娯楽作品としてはお約束なのでどうこう言うつもりもない。エンタメとして観る分には十分楽しめる作品だ。ただ、そういったことをまるっと飲み込んだ上で、残るものがまったくなかったことにフラストレーションを感じてしまう。端的に言えば、ケイジが無限ループを乗り越えるためのモチベーション(大義)がどこにあったかということ。その意味で、リタはもっとどうにかならなかったんだろうか。そこひとつで腹落ち感は随分違ったと思う。

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