« ファンタジーサッカー2013 第24節レビュー | Main | 七難八苦 »

September 06, 2013

スター・トレック イントゥ・ダークネス

自分はいわゆるトレッキーではないので、若かりし日のカーク船長やミスター・スポックに特別の思い入れはない。トレッキーであれば、また別な見方であったり感想もあるのだろうけれど、一本の純粋なスペースSFアクションとしても安心してみていられる良作である。ただ、『パシフィック・リム』とあまり日を置かずに観たせいか、何か同じようなものを観た感覚に陥ってしまったのも確かなのだ。(ネタバレ)

Star_trek_into_darknessそれは、ストーリーの柱が「侵略」か「復讐」かの違いはあれど、伏線を回収しながら最後の予定調和に向かって進む物語のペースといい、自己犠牲とハッピーエンドというお決まりのクライマックスからエンディングへの流れといい、2本の作品が非常に似たアルゴリズムで作られているからだ。ここまで類似してしまうと、ちょっと感情移入もしにくくなってしまう。カーク船長が命をとしてクルーを守った行為も、強引な方法(伏線回収アイテムのひとつ)で生き返らせてしまっては、感動の安売りにもなりかねない(逆に殺してしまっては後のスタトレシリーズが成立しなくなってしまうので、できるわけもないのだが)。 ここまでシナリオがパターン化されてしまうと、カタルシスを得るためには、主人公たちがよほどのピンチに陥らないと難しいのではないだろうか。そして、本作のように主人公をいとも簡単に生き返らせてしまうような安易な方法では、もう満足できなくなってくる。ピンチから生還のギャップがどれだけ大きいか、そしてその解決が許容できる範囲内で理に適っていて、あぁその手があったかという観る側の盲点をつくような知恵、想像力を超えるアイディアが入っているようなところがないと、まぁ良かったよぐらいの評価で終わってしまう。これはハリウッドのこの手の作品のある意味限界点なのかもしれない。これを踏み外すと‘アンチハリウッド’なのだろうか。えー!?っという展開があってもいいんじゃなかろうかと思うのだ(例を挙げれば『ミリオンダラーベイビー』だろうか)。

さて、お話の中身として印象に残ったことをいくつか。たとえばリーダーってどうして感情的な部分が前面に出てきた方が適任に思えてしまうのだろうとか。直情的なカークと理論的なスポックとの対比において、人としてのあり方を考えさせられる(直感的にコアに突入するカークの姿とか)。スポックが感情を抑える理由、そしてカークの死に際に流される涙には心震えるものがあった。前評判の高かったカンバーバッチの悪役ぶりはそれほどでもなかった。シナリオ的にも演技的にも非常さが足りなかった(『ノーカントリー』のバルデムぐらいやってもらえると良かったのだが、やはり子供も見る娯楽作としての限界か)。やや拍子抜け。最大の伏線はオープニングにあるわけだけれど、それだけだとエンタプライズのクルーがカーンの血の力を知ることができないので、その前提を作る小細工がちょっと苦しかったな。スコッティがヴェンジェンスに潜入するくだりも多分にご都合主義的。いろいろ突っ込みどころはある。でも、迫力あるエンタプライズ号はかっこよく(目が疲れるので2Dで観たが、それでも十分堪能できる)、流れる展開は飽きさせない。やはり本作は娯楽作の王道を行く1本である。

|

« ファンタジーサッカー2013 第24節レビュー | Main | 七難八苦 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77466/58129383

Listed below are links to weblogs that reference スター・トレック イントゥ・ダークネス:

« ファンタジーサッカー2013 第24節レビュー | Main | 七難八苦 »