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September 25, 2013

サイド・エフェクト

「サイド・エフェクト」とは薬の副作用のこと。スティーヴン・ソダーバーグ監督が劇場用長編映画からは足を洗うと宣言した最後の作品である。ソダーバーグといわれると代表作的には『オーシャンズシリーズ』になるのだろうけれど、何気に地味な作品の方が好みだったりする(『チェ2部作』とか『スキャナー・ダークリー』とか。でもソダーバーグ作品として意識してはみていなかった)。作品の傾向としては社会派サスペンスの類が多いように思う。大作主義者ではない。このこじんまり感は嫌いではなく、その意味で本作も大枠から外れていないし、最後の監督作品としては集大成とかそんな意気込みも感じられず、いい感じのサスペンスに仕上がっている。(ネタバレ要注意。未鑑賞者は覗くべからず)

Side_efect 特筆すべきは『ドラゴンタトゥーの女』で天才ハッカー役を演じたルーニー・マーラの演技だ。『ドラゴン~』でも、ちょっとサイコが入った陰影のある難しい役を怪演して見せたが、ここではさらに難度の高い役をさらりとやってのけている。すなわち、物語のヒロインであるエミリー・テイラー=‘精神病罹患者を演じる女’を演じているのだ(このメタ構造は本作品の胆中の胆)。観るものを見事に欺くこの演技の完璧さに、真相が明かされるとき、振り返ってあらためてハタと気付かされるのである。そしてラストシーンで、この物語の本当の終焉を想像させる彼女の演技にゾクッとするのだ。この最後の‘ゾクッ’が一番大事なのだ。何の変哲もない平凡な生活に潜む、人の心の闇を鋭くえぐりきりとってみせる創り込みはソダーバーグの真骨頂か。

彼女たちの計画に嵌められてしまう精神科医バンクス博士役のジュード・ロウや、エミリーのパートナーであるシーバート博士役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズも、それぞれの役のキャラクターを上手く引き出していて、シナリオと役者がこうも高い次元でかみ合う作品もなかなかお目にかかれない。バンクス博士が彼女たちの計画に気付いたきっかけや、シーバート博士を丸め込むところのやり取り、成り行きがあまりはっきりしなかったのは不満が残るが、ストーリー自体がわかりにくいということはなく、真相が明かされたときの驚き度合いは十分元が取れるレベルだと思う。結末を知ったことで、もう一度最初から見直したくなる、というより見直すべき作品だとも言えるだろう。それにしても、これがソダーバーグ監督の見納めとはいかにももったいない。

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