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August 26, 2013

パシフィック・リム

監督のギルレモ・デル・トロは日本の怪獣、ロボット大好きのオタクで知られている。エンドロールの最後にゴジラの生みの親・本多猪四郎さんに捧げるという一文も。ただ、それにしても、どうして欧米人は怪獣が好きだという割にああいう造形にしてしまうのだろうか。所詮西洋合理主義には日本の文化的本質を理解することはできないのだ。モンスターパニック映画として、ストーリーはよくできている。役者も一線級は出ていないにしても、菊地凛子含めてそれなりに頑張っている(その中で芦田愛菜は異質だったが)。でも、素直に楽しめなかったのだ。(ネタバレ)

Pacific_rim突如現れた巨大生命体‘kaiju’に対抗すべく、人型巨大兵器‘イェーガー(狩人)’を開発した人類。‘kaiju’の正体は、異星人が地球侵略のためにゲート(題名の元)を通じて送り込んできたクローン兵器であり、イェーガーチームはこのゲートを破壊すべく最後の戦いに赴く。伏線を回収しながら、窮地に追い込まれながらも自己犠牲によってハッピーエンドで終演という、ある意味お約束のシナリオが用意されていて王道を外れていない。人類指導者層がイェーガープロジェクトを破棄し‘壁’に望みをつないだ謎とか、2人の研究者だけで巨大生命体の謎が解けてしまうとか、こういったご都合主義的設定もどこかマンガ的である。イェーガーの操縦システムが身体連動型なのは、途中挟んだ棒術の試験シーンを入れたいがために採用したのではないかと思ったり、まぁ無駄なことが多い。そういう、‘わざわざ感’が映画の見所である(そこがウザったくなるということもあるかも)。そして、そのわざわざの極大点が、‘kaiju’と‘イェーガー’とのバトルシーンなわけだ。‘kaiju’と‘イェーガー’はそのサイズを全く感じさせないスピードで動き回り、高質なCGがその存在のシズル感を生み出している。設定もこっていて、‘kaiju’は戦うごとに進化していく。溶解液を吐き出し‘イェーガー’を溶かしたり、電磁波を発生させシステムを全面ダウンさせたり、いろいろな能力で‘イェーガー’を苦しめる。対する‘イェーガー’は代わり映えしないプラズマ砲とソードが武器(個体ごとにデザインや武器はちょっとずつ違ってはいる)。ジリ貧であるw。しかし、最終決戦でソードで真っ二つのシーンはやりやがった感が強かったww。そして、ボロボロの機体で使命を果たすという物語として得られるカタルシス。実際作品としての完成度は高いと思う。
‘kaiju’に対抗するお国柄を反映したロボットが出てくるのは、何となく『Gガンダム』をイメージさせる。操縦者がロボットの中でアクションするシステムもそうだ(古くは『ジャンボーグA』もそう)。作品は、こういった監督自身の好きなものを妄想し実写とフルCGで仕上げたものなのだが、悪いけれど実は作者のそういった思い入れは画面からはほとんど伝わってこなかった。やはり、日本の特撮文化は所詮ガラパゴスであり、その形式美、美意識は所詮毛唐にはわからない。どこまで行ってもハリウッド映画はハリウッド映画だ。変な日本との結びつきを意識しすぎ期待しすぎると確実に空振りする。自分はそのパターン。予断なくして鑑賞することが正しいと思う。空回りの最大の原因、それはやっぱり‘kaiju’が全然かっこよくないことなんだろうな。人工クローン生命体という設定が造形を邪魔しているのだ。西洋人はあれをカッコイイと思うのだろうなぁ。その時点で既にすれ違っているわけだ。相容れない。
それにしても芦田愛菜はとんでもない役者だ。森マコ(菊地凛子)の幼少期を演じているのだが、セリフらしいものもほとんどない中で恐怖と安堵を見事に表現している。あまりに完璧すぎて、逆にこのシークェンスだけ浮いて見えるかもしれない。ハリウッドは彼女をどのように評価するのか、そのほうが興味深い。

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