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March 10, 2013

ジャンゴ

この映画のPRでデカプリオのインタビューをテレビで観たのだが、テーブルを叩いた拍子にガラスで手を切ってしまったハプニングがそのまま使われたというエピソードが紹介されていた。実際映画館のスクリーン上で見ても相当な出血で、彼自身演技しながらもずいぶん傷のことを気にしていたのが妙なリアリティを生んでいた。タランティーノ監督からは好きにやらせてもらったらしく、この映画を非常に楽しんだようだった。演者たちが映画の中に完全に入り込んで、南北戦争直前の驚くべきアメリカ社会を舞台にエンターテイメントしているのだ。期待にたがわぬタランティーノ節炸裂である。(ネタバレ)

Django射殺シーンは生々しく、血肉の吹っ飛び具合は多少の演出で派手派手しく、銃の引き金はいかにも軽く、奴隷を犬に食わせたり、奴隷同士に殺し合いをさせたりと、当時の社会習慣や文明レベルをフル活用して、タランティーノワールドが展開される。隣で見ていた若い女性たち(レオ様目当てなのかな)は多少引いていた感じだったが、スプラッタホラーなんかに比べればはるかにおとなしい虐殺シーンは、むしろ笑いを誘う。ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)が最後の戦いにカルヴィン(デカプリオ)の屋敷に向かうシーンなんか、これから屋敷を吹っ飛ばしますからと宣言しているようなものだ。そういう意味では、タランティーノ作品の枠を超えていない。この予定調和をよしとするか否かは、作品評価の分かれ目だとは思うけれど、タラ好きにはたまらない。復讐を達成しハッピーエンドを迎えるというカタルシスは、王道娯楽映画には欠かせないものだ。いくら残虐なことをやっても、所詮はフィクションであり妄想であり、カタルシスを得るためにやっていることなので、それさえ得られるならばOKだと言い切ってしまおう。倫理的にとかなんとかいう人は見るべきではない。当時のアメリカ社会、特に奴隷制についてはあまり知識もなく、現代の感覚からするとなかなか理解しにくいことも多いのだが、奴隷制とかかつてのアメリカの文化文明について批判するものでもない。どこまで行っても、そういう時代にそういうことがあったかも、なのだ。

絶賛の1本ではあるが、あえて不満を言うならば、最後のファイトがちょっと物足りなかった。スティーブン(サミュエル・L・ジャクソン)をもうちょっとバトルモードにして一山作れなかったかな、と(‘ドジャンゴ’は笑ったけど)。なんにしても、オスカー2本を敵役側において、その二人がまたいかにも悪役(この映画上は敵役にはなるのだけれど、それぞれの立場において正義も悪もないというところが、タランティーノらしいといえばらしいところか)を楽しんで演じている。ジャンゴを助けたDrシュルツ役のクリストフ・ヴァルツ(『イングロリアル・バスターズ』ではランダ大佐を好演)もいい味出している。そういえば、ジャンゴが捕えられて逆さづりにされて金玉をちょん切られようとするシーンはまさか本人がやったわけではないだろうなぁ。ぼかしが入っていたけれど、ジェイミー・フォックスご本人の下半身だったら、それはそれですごいことなんだが。
作品の中には過去の作品のオマージュとかいろいろなものが詰まっているらしい。その辺も含めて、タラの最新作はとにもかくにもタラ好きを満足させてくれる1本になっている。

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