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September 04, 2012

ダークナイトライジング

前作の8年後、ブルース・ウェインは最愛のレイチェルを喪い、失意のうちに屋敷に閉じ込もったままだった。しかし、メイド(キャットウーマン)に自分の指紋を盗まれたことをきっかけに、再びバットマンとして悪に立ち向うのであった。中身的には、シリーズ一作目「バットマンビギンズ」を引き継ぐ物語が展開されていく。(ネタバレ)

Dark_knight_risesシナリオは重層的。登場人物の行動の謎と伏線はいたるところに埋設され、物語が進むにつれてその理由、真相が明かされ回収されていく。完成度はピカ一。その中から、いろいろなメッセージが発信されている。

ひとつは、前作から引き続き"信頼"すること。バットマンとキャットウーマンとの微妙な関係は、信頼について語るための重要はパーツになっている。いや、登場人物それぞれが味方も敵もなく、それぞれの絆によって強く繋がっているのだ。阿吽の呼吸的な関係性は日本人の感覚にはフィットするので、やりとりがいやに小気味いい。

ひとつは死生観だ。ブルースはレイチェルを喪い、捨て鉢になっていた。本作はある意味、彼が死に場所を探す話でもある。核心は牢獄からの脱出の件に収斂される。死んでもいいと思っているから飛べない、死を恐怖するからこそ大きな力が導き出される。この教義は、死ぬ気でやればなんでも出来る日本人的死生観と相反するものだ。この件からすると、ラストの意味するところは何なのかということになる。

そして、もう一つは"継承"。「マスクは大事な人を守るために必要だ」とバットマンはジョン・ブレイクに言う。その言葉を理解したブレイクは最後にブルースの遺産を受け継ぐのだ。また一方で、敵役の方も"継承"がテーマにある。新シリーズの第一作目、"影の同盟"の首領であるラーズ・アル・グールの意志を継ぐ者(ここにアッという仕掛けが)との戦いである。

最強の敵ベインの目的は、ゴッサムシティの清算にある。「バットマンビギンズ」では、舞台であるゴッサムシティが抽象的(架空の街らしく)に描かれており、その意味で、悪と正義の揺らぎというテーマも観念的だった。しかし、ゴッサムをアメリカのメタファーとして読むと、この作品は俄然リアリティを帯びてくる(実際舞台が現実のアメリカ的に映る)。貧富の拡差がどうしようもなく拡大した現代アメリカを破壊しつくすベインは、持たざる者達の救世主なのか。現体制をそれでも守ろうとするバットマンは一体何を守ろうとしていたのか。見ている側は、正義と悪の境界はどこにあるのかという命題を再度突きつけられる。いろいろ考えさせられることが沢山埋め込まれている映画だ。

さて、続編は作られるのだろうか。

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