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March 08, 2012

ドラゴンタトゥーの女

いきなりリメークされた「Immigrant Song」が流れ出し、メタリックでドロドロしたイメージ映像がうねり始める。冒頭から重そうな雰囲気。実際内容もズシンと重く、表現も暴力とエログロ満載だった。モラル的に結構きつめ。しかし、それでも鑑賞後はなぜだかほんわりするのだ。それは、とりもなおさずこの映画が、このタイトル通り、「ドラゴンタトゥーの女」の物語であるからに他ならない。(ネタばれ)

大物事業家を月刊誌ミレニアムで告発した雑誌記者、ミカエル・ブルムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)だったが、罠にはめられ記者としての地位と財産を奪われてしまう。そんな彼のもとに、大財閥の当主ヘンリック・ヴァンゲル(クリストファー・プラマー)から、40年前に起こった姪ハリエットの失踪事件を解明してほしいという依頼が舞い込む。調査を進めるうちに助手が必要となり、顧問弁護士から紹介された調査員が天才ハッカー、リスベット・サランデル(ルーニー・マーラ)だった。リスベットはヴァンゲル氏がミカエルに仕事を依頼する際に身元調査(ミカエルのPCをハッキングした)をした張本人で、ミカエルのことは何でも知っていた。今回の事件に興味を持ち、ミカエルとともに謎解きを開始するリスベットは、次第にミカエルに恋心を抱くようになる。彼女がこれまで出会ってきたのは最低な男たちばかりで、その基準からすればミカエルは最良の男に見えた。彼女が自らミカエルにセックスを求めたのも、これまでがそうすれば男はみな喜んだという経験に基づく行為だった。しかし、最終的に彼女の純心はミカエルに届くことはなかった。

Doragonこの作品は、リスベットの不器用で健気な乙女心を愛でる映画なのだ。厳しい境遇におかれながらも時折見せるリスベットのやさしさに心が和む。確かにハリエット・ヴァンゲル失踪の謎解きは物語の骨格であり、犯人を暴くところまではサスペンスとして十二分に面白い(ちなみに、事件の犯人にしろ、リスベットの新しい後見人にしろ、出てくるのはみんな少女虐待が当たり前の変態野郎だ)。ハリエット事件の結末には救いが用意されている(事件の真相は全く救いようがないけれど)。ただ、物語は事件解決だけでは終わらない。普通のサスペンスであれば、アニタの正体がわかったところで大団円なのだが、その後に続く一見おまけのようにつけられた部分こそ、物語の核心なのだ。リスベットの心のすれ違いを見せるために、延々と失踪事件解決というドギツイ前戯を見せられていたわけで、そのギャップにぽかんとさせられること請け合いである。ただ、リスベットがこれらの経験を通じて‘普通の少女’に変わっていくことで、この映画で描かれるえぐくきわどい倫理的な諸問題も救われるのである。このポジティブさが素敵だ。

原作が活かされてないとか、デビッド・フィンチャーらしくないとか、いろいろ批判はあるらしいが、1本の映画作品として素直に楽しめた。

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