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September 14, 2011

決断できない日本

Photo_3 決断できない日本/ケビン・メア
文春新書 ISBN978-4-16-660821-8

いろいろ日本とは何かという書物は読むのだが、今度は反対側から見てみよう。
ケビン・メア氏は駐日大使館経済担当官を振り出しに在日経歴19年の日本通のアメリカ人。奥様は日本人だそうだ。春先に、アメリカ人学生向けの講演で「沖縄はゆすりとごまかしの名人」と発言したことの責任を問われて地位を追われた人物だ。本書はこの事件の顛末を明らかにし、彼の汚名をそそぐための弁明がしたためられている。そして、彼の経歴の中から日米安保の今日的意義と日中米関係の危うさを知ることが出来る。

メア氏は、日米安保が非対称条約であり、アメリカは日本が攻撃されれば必ず守ることを強く主張している。当然、想定する相手国は中国と北朝鮮。特に中国は太平洋への出口を求め、あるいは海底資源を求め、しきりに周辺国にちょっかいを出している。このやくざの縄張り拡張=領土的野心に対して、アメリカは警戒を強めている。沖縄に基地を設けることは地理的に最も効率的効果的であり、沖縄で米海兵隊が睨みを利かすことで抑止力になっているのだ。故に昨今の基地問題は日米安保の根底を揺るがしかねないともいう。件のゆすり名人発言は、反基地派がメア氏をはめるために流した歪曲報道だったらしいが、沖縄をめぐっては、反戦・反米のイデオロギー勢力や補助金をめぐる利権、地元の雇用の問題などが複雑に絡み合って、一筋縄では行かなくなっているのだろうことは想像に難くない。問題は政府の迷走ぶりだ。特に鳩ポッポは見事に地雷を踏んで吹き飛んだ。ろくに勉強もせず、出来もしない約束をするのは愚か者のすることだろう(民主党の基地問題の失策は、民主党が政治主導を謳い官僚を遠ざけた弊害だと分析している)。

メア氏は、日米安保の片肺状況を是認する立場だ。日本の危うさは、非武装中立すれば他国は攻めてこないだろうという思い込みにあると指摘する。本当にこんな考え方が日本の首脳部に存在するのであれば恐ろしい話だが、そんなことではおいそれと自立は出来ない。憲法改正の手続きの問題や、日本が自立して核武装する可能性はないと見積もっており(1970年代に国内で議論した結果、核武装は非合理という結論が出ているそうだ。このことを知ってか知らずか、数年前に蒸し返した議員がいたな)、その意味でも日米安保を維持していくことは、日米両国にとって重要だと説いている。

日本を同盟国として守ることは当たり前だという彼の主張は筋が通っている。それでもなお心底から信用するわけにはいかない気がしてならないのはなぜだろうか。やはり、肝心なところで国家は国益を優先する、と思うからだろう。いざというときはアメリカだって分からない。大量殺戮兵器があると嘯いて開戦する国だ。ソ連にしても何にしても、過去有事には平常時の常識はあまり通用しない。そういう微妙な関係を読み取り先取りする力が、これからより一層必要になってくるだろう。目端の利く外交が日本に果たして出来るだろうか。心もとないな。

メア氏は、最後に日本人の弱点として、物事をなかなか決められない性格を挙げている。つまり、その立場にある人たちが責任をとろうとしないということ。コンセンサスを優先し自分の意思決定を希釈するのは、日本人の悪いところだ。決断するにもいろいろな情報が整わないとしないというのも責任を先延ばしする方策に他ならない。命をかけて決断するサムライのような政治家が、今の日本には求められている。これは全くその通り。他国の方から言われないでもよくわかっている。野田さんは腹を切る覚悟が出来ているだろうか。

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