« 後戻りはできない | Main | カンテラの東京ダービー »

May 26, 2010

グリーンゾーン

イラク戦争の原因であった「大量破壊兵器」はなかったという事実をもとに構成されたミリタリー・サスペンス・フィクション。同じイラク戦争を題材にした『ハートロッカー』が引き合いに出されるが、作品の性格は全く別もの。とはいえ、提示される答えが全く正反対のところに、アメリカという国の不可思議というか懐の深さを感じるし、この対比によって『ハートロッカー』のオスカーの理由がより明快になってくる。(ネタバレ)

Green_zone

映像のテイストがジェイソンボーンシリーズに通底するところがあって、しかも主演がマット・デイモンなものだから、“ボーン・イン・イラク”かと思ってしまう。CIAもちゃんと出てくるしw。つまりこれは戦争映画というよりは、バグダッドを舞台にしたエンターテイメントなわけで、「大量破壊兵器」をめぐる政府の陰謀を暴くマット・デイモン演じるミラーの闘いを描いている。ストーリーも難しくないし、伏線も利いていて、聡い人であれば結末は容易に想像できるし、純粋にサスペンス・アクションとして楽しめる。アメリカ当局が「大量破壊兵器」が最初からなかったことを知りながら、その存在をでっち上げて戦争に突入して行ったという(作品上の)告発は、その後始末で疲弊するアメリカに対するアイロニーでもある。マスコミに暴露レポートを流すミラーは、アメリカの持つ良心としてみるべきか、それとも単なる変わり者で、それを許容するアメリカ社会の多様性としてみるべきか、いずれにしても“アンチ”であるところにドラマ性(面白さ)が生まれていることに違いがない。

本編に入る前に、『グリーンゾーン』の意味の解説が日本オリジナルで流される。グリーンゾーンとは、バグダッドの元大統領府を中心とした特別管轄エリアを指しているが、そこは戦地にあって全く異なる世界(アメリカのミニチュア)でもある。わざわざそんな手間を加えているにもかかわらず、題名がメッセージしようとするところと作品の中身がいまひとつ合致してこないのはなぜなんだろう。自分たちは安全なところにいて、危ない汚れ仕事は人にやらせている連中へのあてつけなのか知らん。

|

« 後戻りはできない | Main | カンテラの東京ダービー »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77466/48453404

Listed below are links to weblogs that reference グリーンゾーン:

» 映画「グリーン・ゾーン」見つからない、大量破壊兵器が見つからない [soramove]
「グリーン・ゾーン」★★★★ マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン出演 ポール・グリーングラス監督、114分、2010年5月14日公開、2009,アメリカ,東宝東和 (原題:GREEN ZONE )                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「イラク戦争のさなか、 アメリカ軍が駐屯するグリーンゾーンが存在し、 ロイ・ミラー(マット・デイモン)は、 大量破壊兵器の所在... [Read More]

Tracked on May 28, 2010 at 10:01 PM

« 後戻りはできない | Main | カンテラの東京ダービー »