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March 07, 2010

ガラパゴス化する日本

Garapagos

ガラパゴス化する日本/吉川尚宏

講談社現代新書 ISBN978-4-06-288038-1

日本の携帯電話機は高度に進化しすぎて、他の国ではあまり人気がなく、日本メーカーは海外で苦戦しているという話は有名だが、この現象を象徴的に日本のスタンダードが世界的に通用しないことを‘日本のガラパゴス化’と呼んでいる。確かに、自分もこのままでは日本は世界に取り残されてしまうのではないかという危機感は持っていはいたのだが、『日本辺境論』を読んでしまった後では、この‘ガラパゴス化’というキーワードには違和感を覚えるだけなのである。

つまり、日本は世界の辺境にあるので、このグローバルな情報化社会にあってもリアルな世界で必要とされない部分においては、まだ中央の価値基準が日本まで届かない、浸透していないというだけなのだと。本書ではデファクトについて触れているが、トヨタのハイブリッドシステムは世界的なデファクトになりつつあるし、探せばいくつかはこのような事例は出てくるだろう。すべてがすべて世界標準に乗っていること自体難しい話で、主導権を握ることができている領域が少ないからといって、それをすなわちガラパゴスというのはどうかと思う。日本車はアメリカを標準としたために、逆に日本の道にはやや大きくなりすぎてしまった。世界と日本は違うということをまず認識すべきだろう。そのうえで、意識的に日本が注力して世界と戦って行くべき戦場を選択することが重要だ。何でもかんでもは日本の悪い癖。お隣韓国のオリンピック(メダル獲得)戦略には学ぶべき点が多い。ヒュンダイやサムソンの企業戦略もそうだ。少ないリソースを選択した領域に対して集中的に投入し、先行する国や企業を凌駕する。日本も戦うべき主戦場を定めることが必要で、それは間違いなく環境ビジネスなのだ。日本車がその日本では当たり前と思われている品質で欧米に受け入れられたのと同様、環境=省エネに関しても、日本は民族的にその感覚が染み付いている。その生得した特性を活かさなくてどうする、ということ。ボヤボヤしている間にドイツや北欧に先を越されるありさま。これは国が悪い。あれだけぶち上げておいて、そのあと尻すぼみではどうしようもない。

さて、本書では日本のガラパゴス化を回避するいくつかのルートを提案しているが、なかでも、特区を作ってそこにグローバルでボーダーレスな社会を実現しようというものはユニーク。著者はこれを「出島」と名付けている。そこを足場に日本全体に新しい価値観を敷衍していき、この行き詰まりの状況から脱出しようとする考え方だ。道州制にも底通するアイディアのその成否については正直よくわからない。が、日本は世界の田舎なのだ。だからあえて中央にすり寄る必要もないし、‘きょろきょろ’していれば、どこかで真似すべきスタンダードが見つかり、そこを足がかりにまた動き始めるのではないだろうかと思う。そのスタンダードが中国であれば、ある意味それは戦国時代以前に遡るわけで、時代は繰り返すのである。浅草商店街は早くも銀聯カードでの決済を導入している。日本人は常に‘きょろきょろ’しているのだ。

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