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March 16, 2010

ハート・ロッカー

タイトルを日本語で表記すると“心を揺るがすもの(Heart rocker)”と異訳できる。原題は『THE HURT LOCKER』。傷ついたものを入れるロッカーとは、すなわち棺おけのこと。果たしてイラク戦争の現実は観る者の心を揺るがすのか。オスカー6本取った映画の感想として、爆音映画祭で是非取り上げて欲しいと思った、ではいかにも拙いだろうか。(ネタバレ)

Hurt_locker

いつもより遅めのレイトショーで、しかも夕方ジムでトレーニングしてちょっと疲れていたせいもあってか、途中眠くなってしまった。いくつかのエピソードから戦場の緊張感は伝わってくるものの、一方でどこかで別の世界の話的な醒めた感覚が働いていて、作品は奇妙に宙に浮いていた。計算されたシナリオやドラマがあるわけでなく、爆弾処理という任務を淡々とこなしてく日常が任期明けのカウントダウンとともに流れていく。ドキュメンタリー風なのかといえば、たとえば『ユナイテッド93』よりははるかにエンターテイメントだったし、『ハンティング・パーティー』なんかに比べればあざとさがなくて、作品としてスッキリ仕上がっていた(映像のテイストは似た感じがした)。それでも、ではこれがオスカーなのかというと、どうなんだろうと思ってしまう。
冒頭の“A war is drug”の一文がラストに繋がるわけだけれど、核戦争と切り離された現代戦は神経戦であり、それに犯された人間は、ジェームズ(ジェレミー・レナー)のように中毒になるか、エルドリッジ(ブライアン・ジェラティ)のように普通に精神病に悩まされるようになるか、サンボーン(アンソニー・マッキー)のようにギリギリのところで理性を保ち、命からがら逃げ延びるかなのだろう。所詮戦争とは人の殺し合いでしかない。悲惨な爆弾テロの現実がそのことを再認識させてくれる。そして、民間人(子供たち)を巻き込むこの戦い方には嫌悪感しか浮かび上がってこない。見ていて気が晴れる作品ではない。
ジェームズ軍曹が再び戦地に赴くのは一種の病癖だ。その心の闇にヒロイックな感傷を被せて見れるかどうかが、この作品の評価の分かれ目ではなかろうか。そこには、戦争を始めた当事者だからこそわかる感性が存在するはずなのだ。その意味で、日本人であるオイラが解らなくても不思議ではない(あえて解りたくもないのだが)。そこがつながっていない(腑に落ちていない)から、観ていて作品が宙に浮いていたんだと、改めて思う。

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