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January 31, 2010

サロゲート

この物語は、遠隔操縦できる人間そっくりのロボットが開発されたおかげで、すべての人がロボットに自分の代わりをさせて暮らしている世界の話である。これは、同時期に公開されている『アバター』のギミックと全く同じで、入れ物がDNAで作られているか、完全な無機物で作られているかの違いだけで、システムは同じものだ。このような遠隔操縦システムは、本来人間が踏み入ることができない領域へ行くためのものであるはずだが、サロゲートは未来の人間社会で使われている。それだけ、未来社会は危険に満ちているようだwww。この設定そのものが、作品の最大のシニカルな部分だろう。発想のベースは、ネット社会がリアルとすり変わったらどうなるかというところだろうが、ネットに籠ってないでもっと現実とリアルなコミュニケーションが必要だというメッセージも何となく上滑り気味。(ネタばれ)

Surrogates Mナイト・シャマランが作りそうな映画だった。設定ありきで、その上で象徴的な寓話が展開され、それがショッキングな結末とともに社会に対するメッセージになっているというパターン。監督であるジョナサン・モストウは最初から世界観を提示してから物語に入っていく(シャマランであれば、世界観の紐解きは最後になる)。“入れ替われる”ということがストーリー上重要なファクターになっているので、その前提を作るためには先に世界観をしっかり理解してもらわなければならない。最後の謎解き的なものがこれによってなくなってしまうので、SFサスペンスとしてはストーリーが直線的だ。サロゲートシステムのギミックも完全に使い切れているかといえば物足りなさが残る。そもそもサロゲートに人間が依存していった背景が緩すぎるし、システム上の不備=突っ込みどころがたくさんあり過ぎて、最初から世界観が崩壊してしまっている。観ていてそこが気になりだして、佳境に行けばいくほどつまらなくなってしまった珍しい作品だ。一番引っ掛かったのは、なぜシステムの開発者であるキャンター博士(ジェームズ・フランシス・ギンティ)がSVI(サロゲートの開発会社)を裏切り、システムを葬り去ろうとしたのか、その動機があまりはっきりしなかったことだ(戦争利用が原因?)。息子を交通事故で失ったグリアー捜査官(ブルース・ウィルス)と妻マギー(ロザムンド・パイク)との関係とをキャンター博士の心情に対比させたり、いろいろやり方はあったはずなのに、中途半端にエンタメ寄りに話が進んでいく。マギーの苦悩もいまひとつ伝わってこなかったし、ゆえにラストの夫婦が無言で抱き合うシーンにも迫るもの、こみ上げてくるものがなかった。すべてのシステムをオペレーターともども抹殺しようとしたキャスター博士といい、ロボットだけをすべて破壊したグリアーといい、あまりにエゴイスティックな展開は極端すぎて共感性に欠ける。様式にこだわると、こういうディテールにおけるリアリティが消失してしまう。ベースに無理があるうえに展開がこうなってしまうと、はっきり言って白けてしまうのだ。キャンターの企みを早くから明らかにし、グリアーとの競争を見せた方が、よりハラハラドキドキ感が強まっただろうし、キャンターの心の闇も伝わっただろうし、その意味でキャンター役はもっとメジャーな人に任せるべきだったと思う。
サスペンスアクションとしての作りはまずまずだし、派手なカーチェイスやバトルもある。エンタメ作品としてはそこそこのレベルだけれど、結局B級にもなり切れない中途半端な作品という感じなのかな。全体的にパッとしない中、意外とブルース・ウィルスは健闘(孤軍奮闘?)していた。アバターであるグリアー自身のロボットを演じるブルース・ウィルスが、本人よりちょっと若くちょっとふっくらしていたのは、CGでの修正なんだろうな。すべての出演者(ロボット)はどこか表情がぎこちなくロボット的なニュアンスを含んでいるのがわかる。結構こだわった演出だ。こういうディテールに対するこだわりがシナリオやそのほかの部分にも活かされればよかったのにと思う。いつもの傷だらけのブルースの顔との対比はいい演出効果だった。生身の痛みを表現するにはブルース・ウィルスはまさに適任だろう。

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「サロゲート」★★★ ブルース・ウィリス、ラダ・ミッチェル、ロザムンド・パイク主演 ジョナサン・モストウ 監督、89分 、 2010年1月22日 公開、2009年、アメリカ (原題:SURROGATES)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 髪がふさふさのブルース・ウィリスの頭が気になって仕方ない。 「ロボットがすべての社会生活を代行してくれる 未来社会を舞台にしたSF・アクション... [Read More]

Tracked on February 18, 2010 at 11:18 PM

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