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July 13, 2009

10年後も残るクラブ、消えるクラブ

Soccer_hihyou43 サッカー批評 issue43

来年から移籍金制度が撤廃になり、JリーグもFIFAスタンダードの契約環境になる。これによって、資金の豊富なクラブといわゆる貧乏クラブとの戦力格差が拡大するのではないかと喧伝されているが、これはいたって資本主義的であり、クラブの経営努力に応じた見返りが期待できるシステムといえる。欧州でも世界中どこでもこのルールに則って動いているわけで、これによってJリーグがおかしくなるということは論理的でない。むしろ日本が特別だったことが異常なのであって、本来この枠組みの中でクラブ経営は考えられるべきなのだ。さて、そのローカルルールがこのたびなぜ経過措置もとられることなく唐突に制度移行したのか、その背景がここでレポートされている。

要は、Jリーグの移籍契約規定はそもそもFIFAのルールに違反するものであり、それを国際プロサッカー選手協会がFAIAにチクッたことが今回の件の発端になっているという。違反に対してなんらかペナルティ(たとえばW杯の出場権はく奪とか)が課せられる可能性もあり、あわてて制度改定したらしいのだ。しかも、これらのことは一切クラブには説明されていないという。あきれてものも言えない。

さて、いい選手が高額サラリーによってひきぬかれるのが日常茶飯事的リーグになったとして、それでも欧州の例を見るまでもなく、どんな形であれチームは存続していく。日本のプロビンチャ(地方の小さなクラブ)の可能性を大分、水戸、甲府などの実情を通じて探っているのだが、共通するのは求心力となる熱意を持った人物がいて、その信念に基づき身の丈にあった活動をしているということだろうか。肝心なことは、そのクラブが地域からどれほど求められているか、そして地域のアイデンティティとして機能しうるかにかかっているような気がする。地域コミュニティに必要とされれば、それは親会社やスポンサー企業に頼ることなく、地域市民が支えていくはずで、そこに人が住んでいる限り、そしてクラブがそのコミュニティにとって重要な役割を担っている限り、そう簡単になくなるものではない。バルサはソシオという個人の集合体によって支えられているのだ。クラブの大小も関係ない、本質的なものだと思う。J2に落ちてしまった緑色のチームやFC岐阜などは逆の意味での好事例だ。小湊さんのインタビューはほんとに悲哀が漂っている。日テレからの資金援助が切られたらどうするんだろう。今のメディアの状況を考えると、その時はもうすぐ目の前に迫ってきているように思うのだが。

この話の流れのなかで、育成はクラブ経営にとって非効率的だという話がある。金食い虫の割に、トップで金を稼げる選手がなかなか生み出せないでいる。学卒をとってきたほうが活躍するし、育成費用もかからないからそのほうがいいに決まっている。しかし、地域との結びつき、青少年育成という役割は、クラブの存続という視点では避けては通れないことでもある。東京が最近ビッグフレームスの勧誘に積極的なのは、こういったコスト負担の問題が大きいのだろう(それでも東京はまだ逸材-呉(蔚山現代)、李(柏)、馬場(フリーター)、尾亦(C大阪)―を輩出しているほうではなかろうか)。

集客するには「勝利」が即効薬だし、ファン層を拡大していくにはナオのようなスターを生み出すことが効果的だ。しかし、10年20年と続いていくためには、その地域にとって何なのかが最も大事なのだ。クラブが「味スタを満員に!」を合言葉に頑張っているが、今年できなかったからとり下げる看板でもない。継続することで、いつかしらそれは達成されるはず。今年満員にならなくても、来年再来年チャレンジし続ける。それはチームが優勝を目指すのと同じように、われわれ自身の戦いでもあるのだ。

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