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June 02, 2009

狂い咲きサンダーロード

現在(5/29-6/13)吉祥寺バウスシアターで開催されている爆音映画祭のプログラムの中の1本。制作年度は1980年。当時渋谷公園坂上の空き地に仮設されたドーム型のパルコシアターで上映されていたのを観に行ったのだけれど、体調不良で途中で映画館を出てしまい、最後まで見ることができなかった。それ以降、この作品を見る機会もなくこの年まで過ぎてしまった。今回はいわばそのリベンジというわけ。若い観客に混じって頭の天辺が薄くなり始めている親父がちらほら。おばさんも数人。ちょっと年の割りに若ぶった格好なので、おそらく当時走っていた人たちだろうと勝手に推測してみる。そんな時代のそんな若者たちのための映画だ。約30年も前の暴走族の映画に、今の若者は一体何を見つけるのだろうか。

Crazy_thunder_road 爆音映画祭はコンサートで使うようなスピーカーを持ち込み、音量を上げて、そのノイズを感じることで映画作品の違った魅力を体感することが狙いになっているらしいが、人間というのは不思議なもので、最初は確かに腹の下にズシン、ビリビリと響いていた音も、中盤以降は普通に慣れてしまい、最初の違和感はいつの間にかどこかへ飛んで行ってしまった。当然バイクの音がこの爆音とシンクロしたわけで、実は気づかないうちに普通の音量のときよりも臨場感は倍化されていたのかもしれない。

さて、肝心の作品については、とにかくかっこよすぎて語るに尽くせない。そりゃ画質や演出の限界(見ることができなかった幻のパートである最後の市街戦は今見るとお笑いの域に達している)というものはあるにせよ、山田辰夫のとんがった演技といい、泉谷しげるの音楽(全編ミュージックアルバムというぐらい流れていて、泉谷、パンタ&HAL、THE MODSが担当)といい、29年経っていてもかっこいいものはかっこいいのだ。特に、仁(山田辰夫)が右翼団体から抜けて一人バイクを走らせるシーンがあるのだが(たぶんバイクはカワサキ)、このショットが本当にかっこよくて、かっこよくて、かっこよくて、かっこよくて、もう切り取ってポスターにしたいぐらいかっこいいのだ。

1980年という時代は、パンクが登場し、70年代隆盛を誇っていた暴走族が徐々に衰退していき、バブル経済へと上り詰める入り口にあった。そんな時代の雰囲気を作品の中に取り込みながら、一方でそんな時代に対する違和感(得体の知れない苛立ち)をアンチヒーローに担わせて一気に文字通り爆発させて見せる。石井聰亙という才能を世に知らしめた記念碑的作品でもある。

【追記】2009年7月26日 山田辰夫氏逝去。ご冥福をお祈りいたします。

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