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May 29, 2009

ウェッブはバカと暇人のもの

Web ウェッブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言/中川淳一郎
光文社新書 ISBN978-4-334-03502-0

著者はニュースサイトの編集者で、これらの“バカと暇人”の相手をしている(させられている)日常から生まれてきた見識だけに真実味がある。まぁ、ウェッブというかネットの一つの側面を摘み上げて断言してしまうのはあまりに恣意的ではあるが、ここに書かれているような下世話な話はそれだけネットが一般化した証左でもある。

企業やネットを使ってビジネス使用とする人たちの中には、世の中変わるんじゃないかぐらいの期待をしている人たちもいるらしい(本当にそうなのか知らん?)。これまでの広告コミュニケーションではなしえなかったすばらしい効果が得られると思っている人たちもいるらしい(本当かよ!)。そういう人たちの妄想を打ち砕くべく、この本が書かれたわけだ。とどのつまり、人間が使っている以上、ネットはこれ以上進化しないし、電話やファックスやそのほかの生活ツール同様の便利なものに落ち着いたんだから、過度な期待は止めよう、ということが言いたいらしい。

2008年末の6歳以上のネット利用者数(日本国内)は9091万人。総人口に占める割合は75.3%にまで伸張した。人口カバー率はここ数年で飛躍的に伸びた。パソ通時代とは隔世の感がある。昔はそれなりのパソコンリテラシーと通信環境などが必要とされ、始めるにはそれなりにハードルが高かった。しかし、いまやゲーム機からでも簡単につながる世の中だ。パソ通時代はそれこそオタクの世界で、好きな人間しかやらなかったし、やってる人間もそこそこIQが高かった。初期のネット時代には当時の先端的で情報感度の高い人間がユーザーの主流を占めていたが、ここまで普及してしまえば、そのユーザー構成はリアルの世界とさほど変わらなくなってきているのは当たり前の話だ。「バカと暇人のもの」というタイトルは、リアルで相手にされない人間がそのはけ口としてネット上を徘徊しているという意味ぐらいのもので、このような表現になるのは、日常のリアルでは表に出てこない感情が匿名性によって引き出されることで、余計にその品のなさ、蛮行が目立つせいだろう。最近のネットユーザーはそんな奴らばかりかといえば、むしろそんな連中は少ないのではないかとも思う。中傷攻撃は無視しろという著者のアドバイスのごとく、そういった連中は無視しても一向に構わないレベルの存在(量的にも質的にも)だと思う。

著者の経験から、ネットでたたかれやすい項目10点、ネットで受けるもの9点、ネットで上手く行くためのポイント5点が指摘されている。これはこの本の肝なので知りたければ買うべきなのだが、なるほど今の日本におけるネットの全体傾向をここからうかがい知ることができる。ただ、これはニュースサイトの編集者という視点で見たときの話であり、ネットはもはや単なるコミュニケーションツールではなくなっているので、何を目的としてネットと付き合うかによってはあまり参考にならないかもしれない。
「人間が使っている以上進化しない」という著者の主張については、「そういう遣い方しかできない人たちにとってはそれだけのものでしかない」と言い換えさせてもらおう。ネットの可能性はまだまだあるよ。

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