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May 21, 2009

GIANT KILLING 第10巻

Giant_killing GIANT KILLING 第10巻/ツジトモ
モーニングKC 講談社 ISBN978-4-06-372789-0

遅まきながらアップデイト。主人公は監督ではあるけれど、これは弱小クラブ「ETU」の物語であって、プロサッカーというエンターテイメントのあらゆる魅力がここに凝縮されている。これまでのサッカー漫画は、そのほとんどがプレーヤー視点で描かれており、その意味でスポコン、ラブコメの域を出なかった。この作品はその枠組をも作品内部にとり込み、ビジネスとしてのサッカーを俯瞰したところから、いくつかの物語を並行して走らせている。この作品を読んで、プロサッカーの楽しみ(方)を理解してもらって、実際のスタジアムに足を運んでくれる人が増えればいいなと思う。

弱小クラブがビッグクラブにひと泡吹かせるのは痛快だが、現実はそう甘くはない。ただ、まれに本当に奇跡のようなことが起こるのもサッカーというスポーツであり、実際いくつかの現実をスタジアムで体感した身からすれば、ここに描かれていることはまったくの作り話ではないのだ。

第10巻では、リーグ戦は中盤に入り出場停止やフィジカルトラブルが原因でベストメンバーが組めず、選手のやりくりがテーマになっている。チームマネジメントのイロハの部分だ。カレーのエピソードはどこかで実話を聞いたような気がした。この作品は、プロサッカービジネスの基本からスタジアム周辺、サポーター周辺、さらには、これまでのJの歴史(世界中でおきたことだって構わないかな)で起きたことがすべてネタになるわけだから、続けようと思えばいくらでもできる。シーズン1/3で10巻を消化しているので、1シーズン30巻、達海の任期を3年としてそれだけで90巻いける計算になる。ただ、続けていくためには、やっぱりそこに何が描かれているかが大事であって、つまりサッカーは人生であるということをいかに描けるかにかかっている。サッカーというスポーツの奥深さ、監督という職業の醍醐味はここまででも十分伝わってくるが、例えば2004年ナビスコ決勝のG裏の感動は絶対漫画では表現しきれないと思うのだ(あるいは昨季の最終戦における千葉のG裏とか)。あのあり得ないシチュエーションをいかに作中に「創造」できるかは、作者の腕の見せどころだろう。この先期待したいところだ。さらには、達海が本当に追い込まれる場面が用意されるだろうか。そのとき彼はどのような決断をするのか、と興味は尽きない。“ETUのサポーター”として、“もう一つのシーズン”を楽しんでいきたいと思う。達海の書くようなシナリオ通りに東京のゲームも運んでくれれば世話ないんだけどねぇ。

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