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April 30, 2009

スラムドッグ$ミリオネア

オスカー8部門、特に作品賞、監督賞受賞は伊達ではない。
主人公ジャマール(デヴ・パテル)とアティカ(フリーダ・ピント)との純愛に、サリーム(マドゥル・シッタル)との兄弟愛を絡めながら、彼らの過ごしてきた過酷な人生や近代インドの現実をクイズ・ミリオネアというクイズ番組を使って紐解いていく脚本は実に秀逸だし、2000万ルピー(1ルピー=1.93円(4/28現在)。中間レベルのインド人公務員の月収が約2,000ルピー(約5,500円)くらいだといわれている)を賭けた最後の一問に彼らの人生が集約されていく盛り上がりの作り方といい、往年のハリウッド映画のDNAを見事受け継いでいる。しかも、エンドロールのバックにはインド映画お約束のオールキャストでのダンス。文句なしに楽しめる一本。(ちょっとネタバレ)

Millionaire 物語はクイズ・ミリオネアに出演しているジャマールの一問一答を通じて進められる。
スラム出身でろくな教育も受けていない青年がなぜクイズに正解し続けることができるのか。彼の人生を振り返ることでその謎が明かされていく。クイズ番組の進行と彼らの人生が同時平行的に進んで行き、最後の一問にたどり着く。答えは、そして彼らの運命は。というのが大筋。彼らの過去の中にはインド社会の影の部分も取り上げられている。孤児ビジネスなどは現実の問題としてあった話なのだろう(今もあるかどうかは分からないが)。歌の上手い子を選んで目を潰す(物乞いに立たせるとその方が同情を買うから儲かるらしい)件などはちょっとグロく、このあたりがR-12指定になっている理由なのかも。重くなりがちなこういった闇の部分もひっくるめて娯楽作品として纏め上げたダニー・ボイルの力量はたいしたものだ。スピード感ある演出とカメラワークはインドの躍動をダイレクトに伝えてくれる。

インドのムンバイは今“ボリウッド”とも呼ばれ(ムンバイの旧名ボンベイとハリウッドの合成語)、アジアにおける新しい映画の都として急速に発展している。産業としてインドの低コストは大きな魅力ではあるが、それ以上にインドという国の持っている混沌と生命力がそこで作られる映画にあふれ出してきているように思える。この作品にもそんなインドの魅力がぎゅっと濃縮されていて、観た後でインドの元気がもらえたような気になる。特にあざといと思われても何でもハッピーエンドで終わったことにホッとした(ここのところ、バッドエンドの映画が多いような感じがしていたので、最後ラティカを殺すなよと祈りながら観ていた)。生きていくうちには辛いこと悲しいこともあるが、それを乗り越えたところに幸福が待っていることもある。金がないとか仕事がないといって悩んで自殺するような人もいる社会はどこか間違っているように見える。人間ってもっと強いものなんだと気づかされる。元気のない人はこの映画を見て生命力を注入してもらうといいと思った。

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Tracked on May 06, 2009 at 07:30 PM

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