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January 26, 2009

ザ・ムーン

原題は『In the shadow of the moon』。約40年前、人類が月に初めて降り立ったその偉業を、実際に月に行ったアストロノーツたちの証言とNASAの秘蔵映像とで綴るドキュメンタリー。なんだが、思った以上に来るものがなかったというのが率直な感想。そんなにドラマ性を感じなかったし、事実ベースのエンタメということであれば『アポロ13』観ればいいんだし。おそらく、気持ちがすでに火星に飛んでいるせいだな。

The_moon アポロ計画が米ソ冷戦の中で政治的色彩を帯びて進められたことはよく知られていると思うが、人類が毎日見上げるあの月に立ったという事実は、全世界に夢を与え人類の可能性を確信させたと思う。その価値はアメリカにとっても計り知れないものだった。アメリカが世界をリードしていくポジションを獲得した象徴的なイベントともいえる。しかし、時は移り、今の世界的な金融危機の端緒を開いたのはアメリカだし、テロとの戦いを大義名分に相変わらず戦争を続けているのもアメリカだ。環境問題には消極的だし、今のアメリカには世界をリードする圧倒的な力はないように見える。こんな時代に絶頂期のアメリカを見るなんて一体何の巡り会わせなのだろうか。意図的なものも感じないではない(オバマはかつての栄光を取り戻すことができるのだろうか)。

40年前との感覚のギャップが大きすぎて戸惑うこともある。当時の技術力でよく月までいけたこと自体が驚きだが、今の世の中に、世界中誰にもわかりやすい夢というものがなくなってきているのも確かではないだろうか。特に宇宙開発の面では、宇宙ステーションが建設され、太陽系にはいくつもの探査機が放たれ、火星では2台のローバーが今も赤い大地を走っている。この現実と月着陸を対比させたとき、アポロ計画自体の感動はどこか御伽噺的にも思えてしまう。宇宙空間から見る地球の映像はそれほど目新しくもなく、宇宙飛行士が感じた宇宙における孤独感や地球に溢れる生命感は、彼ら当事者の言葉であっても残念ながらなかなか響いてくるものがなかった。

月には計7回着陸している。映画では、後期のローバーを持ち込んだカラー映像も紹介されていて興味深いものもあったが、これらを映画としてみる意味性はあまり感じられなかった(ユツベで十分)。最後に捏造説を否定する証言がある。この映像はリアルだと。いまさらわざわざという感じもするが、当事者たちは結構気にしていたのだろう。しかし、そんな40年前のリアルにこだわりはないし関心もない。今まさに地球が大変ってときに、ちょっと回顧的過ぎやしないかねと思った。

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