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January 16, 2009

バンクジョブ

  1971年、イギリス・ロンドンで起きた無線強盗事件をベースにつくられた作品。事実ベースの映画は、これまでにも「ドミノ」「ユナイテッド69」「ハンティング・パーティー」など見てきたが、これは中でも一番作品としてまとまっていたし、何よりエンターテイメントとしての完成度が高かった。全編よく考えられていて、40年前のロンドンの街並みや生活の細部にもこだわって作られている。びっくりすることはほとんどないが、ちゃんとハラハラどきどきもするし、笑いもある、じわっと味のある“確かな”作品だ。
それにしても、新宿武蔵野館のレイトショーでほぼ満席になったのはこれが始めて。しかも、半数以上が妙齢(?)の女性。そういえば、水曜日はレディースデーだった。なんでよりにもよって強盗映画なのかな?(ネタバレ)

Bj_wp02_800_2さて、簡単にあらすじ。中古車店経営に苦しむテリー(ジェイソン・ステイサム)は、今の生活から抜け出すために、昔なじみのマルティーヌ(サフロン・バロウズ)が持ちかけてきた銀行強盗の話にのり、仲間を集め、銀行の貸金庫に眠っていたお宝を盗み出すことに成功する。しかし、盗んだものの中に、おおっぴらになると非常にまずいものがたくさん含まれていたために、彼らはその持ち主である複数の悪党どもから命を狙われる羽目に。テリーたちはこの窮地を脱することができるだろうか。

映画のカテゴリーとしては“クライム・サスペンス”とでもくくられるのだろうが、最先端の警備システムや先端科学捜査が常識の今日からすれば、成功するはずもない手口で銀行破りが実行されるのを目の当たりにすると、この映画は実はファンタジー(御伽噺)なんではないかとも思えてくる。当時のファッションなんかも古臭く、それがまた新鮮にも映って見える。こういった現実(現代)との乖離感が、この作品を成立させている根源なのだ。ありえない銀行強盗事件をベースにすることで、逆説的に物語(あるいはエンタメ)としてのリアリティを持たせることに成功している。現在や未来のうそ臭さと比べると、事実という裏書がついている分強くなる。作品を支える柱になっている。ちなみに、三億円事件が起きたのが1968年だから、当時の警察力というのは、洋の東西を問わずそうとう穴があったということなんだろう。40年前ともなると、本当に別の世界の話のようだ。
強奪計画の大筋は事実ベースなのだろうが、見張り役があんな都合よく無線機を落とすかとか、細かいところで突っ込みどころ満載。創るところはしっかり作っている。しかし、そんな漫画的な要素もひっくるめてシナリオは良くできている。反政府運動家、汚職警官と娼館経営者、変態性癖の政府高官などなど、一見何の脈絡かもわからないような人物が最初登場するのだが、それが結局最後に「貸金庫」で一つにつながる仕立も面白いし、複数を相手取ってテリーが危機を切り抜ける展開は最大の見せ場でもある。さらに、マルティーヌとテリーの女房との確執とか、反政府グループにもぐりこんだ女スパイの末路とか、枝葉に張られたミニドラマも意外と効いているのも見逃せない。演じる俳優陣も個性的。「デス・ゲーム」のジェイソン・ステイサムを筆頭に、二線級ながら癖のあるタレントが揃っている。それにしても、登場人物の顔の形がみんななんか歪だったのは、これも狙いがあってのことだろうか。

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