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December 22, 2008

シャイン・ア・ライト

これはマーティン・スコセッシの映画だ、とミックは言う。しかし、マーティン・スコセッシは大好きな“The Rolling Stones”という偉大なロックバンドの生の姿をフィルムに納めたかったのだ。どう見せれば彼らが一番かっこいいのかは、熱烈なファンである監督自身が一番良く知っている。だから、この映画がかっこよくないはずがない。これは紛れもなく“The Rolling Stones”の“映画”である。

Shine_a_light 2006年10月、ニューヨークにあるビーコン・シアター(キャパはなんとたった2800人)で行われたライブを撮るために、スコセッシは18台以上のカメラを持ち込んだそうだ。当日のセットリスト(演奏曲目メニュー)がない中、全編をどのように構成するか、彼の頭はさまざまなイメージをシミュレーションするので大忙しだったことだろう。実質は1時間半程度の長さだったであろうライブの膨大な映像(18台分!)から選りすぐって1本にまとめる作業は、それだけで時間もかかっただろうし、何よりどのカットを使うかで相当悩んだと思う。そして出来上がった“作品”は、見事にその夜の出来事をフィルムに閉じ込めることに成功しているように思う。とても小さな小屋に詰め込まれた熱気がスクリーンを通じてこちら側に伝わってくるのはもちろんだが、一発勝負、演出なしのコンサートの中に、いかにも役者に注文をつけたかのようなシーンが織り込まれているところは、映画監督としてのこだわりでありプライドだったのではないだろうか。単なるドキュメンタリーではない、ストーンズという客体をカメラによって確かに演出しているのだ。
演出的なことで言えば、作中に過去のインタビュー映像を織り交ぜ、メンバーの人間的な魅力にまで言及している。中でもギターの上手い下手について質問されたときのキースの答えには鳥肌が立った。「(ロニーも俺も)二人とも上手くはないが、そろったら最強だ。」キースはコンサートでもソロで1曲披露していて、いやこれがまた実に絵になること。さすがは“ジャック・スパロウの親父様”だけある。
家でミュージックDVDを見るのとも、大きなライブ会場で小さなミックとグァングァン回る爆音を聴くのとも違い、映画は実に快適だ。大画面に映し出されるミックやキースの表情はとても豊かで、程よい音圧を伴ったクリアなサウンドは、家で音を絞って聴いているストレスから開放してくれる(映画館としては古い新宿武蔵野館だったので、六本木のTOHOとかの方がもっと音がいいのかもしれない)。ありがちなミュージックビデオと一体どこが違うか、なかなか具体的なところは指摘しにくいのだけれど、それでも感覚的にこれは“映画”なんだと思う。ストーリーがあり、役者がいて、演出がある。その意味では、確かにミックの言うとおり、これはまさしく映画監督であるマーティン・スコセッシの作品なのだ。

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最初にカミングアウトさせて頂こう。 私はストーンズがあまり好きではない。 (こういうことを発言するのはドキドキ。ただブログならでは?) そんな私でも、スコセッシでストーンズが映画化されれば、やっぱり触手が動こうというものだ。 ということで、経験測に従って公開直後のシャイン・ア・ライト を観てきた。 (経験測=ロック映画は当たらないのですぐ行かないと終了する) こうしてロックを大スクリーンでみれる機会は少ない。 映画が始まると、そこにあるのはトラブルの渦。 会場図面は決定していないし、果てはセ... [Read More]

Tracked on December 23, 2008 at 01:25 PM

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