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August 01, 2008

アフタースクール

見事に騙されましたね。笑いました。ほろっとしました。大変面白いです。

この作品を成立させているのは、つまり、“先入観”なんですよ。

(ネタバレ。本編の楽しさを大幅に損なうため、ここから先は読まないことを推奨します。あと、エンドロールは最後まで見ましょう)

Afterschool 映画は唐突に中学校の下駄箱のシーンから始まる。少女が少年に手紙を渡すシーン。これが十数年のときを経てロマンチックなラストにつながるのだが、実は導入に際しても大きな意味(騙すための伏線)を持っていた。
そして現代、あるアパートの一室。冒頭のシーンの影響もあって、常盤貴子と彼女を囲んだ3人の男たちの関係を何の説明もなしに画面から「木村夫婦」「妻のお父さん」「旦那の親友」として勝手に読み込んでしまった。すべての騙しはここ(誤解)から始まる。神野(大泉洋)のポルシェを借りて出かけるときの木村(堺雅人)の台詞も、女(佐野みきの身代わりになっていた神野の妹=田畑智子)と横浜のホテルで目撃されることも木村の「不倫」としか見ている側は読み取れないようにできている。しかし、すべてのタネが明かされれば、これらのことは“嘘”ではなかったことがわかる。この騙しは、物語上の敵に対する騙しそのものであり、観客は当事者として見事に巻き込まれてしまうのだ。上手いとしか言いようがない。
途中、北沢(佐々木蔵之介)が神野のポルシェから見つけた木村の携帯から、木村と神野がグルだったことを発見すると、神野は実は“ワル”だったのかと思ってしまうのだが、そこからさらに急展開し、すべては警察が仕組んだ大捕り物芝居だったということが判明する。ただ、登場人物の関係や事情、仕掛けなどが多少複雑で、ちょっと1回ですべてを理解するのは難しい。その意味で、全部わかった上でもう一度見るとさらに楽しめるのではないだろうか。

シナリオがすばらしかったのは言うまでもないが、登場人物をリアルに演じた役者陣もまたすばらしかった。主役の中学校教師・神野は大泉洋。もっとおちゃらけるのかなと思ったけど、どこか子供っぽさが抜けない神野を抑え気味に演じたのは好感が持てた。方やねずみ男なんかもやっているし、いつの間にやら名優の雰囲気が漂い始めましたな。確かに、北沢に放った台詞はかっこよかった(おそらく、“モラトリアムからの卒業”がこの作品の主題。「お前がつまらないのは、お前のせいだ」という北沢に言った台詞は、もしかしたら神野自身にも向けられていたのかもしれない)。

神野の親友“つなぎ役”の木村は堺雅人。好青年なんだけど目立たない奴はどんなクラスに必ずいた。そんな微妙な雰囲気を上手く醸し出していたと思うのだが、リアルのご当人は学生時代もあんな感じだったのだろうか。そして、借金でやくざのボスに頭が上がらない探偵・北沢役の佐々木蔵之介は本作品の発見のひとつ。あまり彼について詳しくはないが(ドラマはほとんど見ないので)、強気で自信家のこざかしい表の顔と、借金で頭が上がらないやくざの組長の前での裏の顔と、北沢という人間の持っている弱さをあまり重くならないところで表現していた。特に“眼”が印象的だった。三者三様ながら、いずれのキャラクターにもリアリティがあった。また、脇を固める沼田爆や伊武雅人、山本圭などの曲者達も効いていた。笑いを取るための多少の演出過多の部分も、役者のキャラがしっかりしていたからこそ鼻につくことがなかった。

久々に満足度の高い1本。大作ばかりに目が行きがちで、しかもヒットしたテレビや小説をベースにしているから底の浅さが知れていると見くびっているのだが、こんなのを見てしまうとなかなか邦画も馬鹿にできないと思うのだ。また、いやなニュースが蔓延している現実の中で、お金を払ってまで気持ちを損ねたくはない。笑えてハッピーエンドで幸せな気持ちになれるのが一番だ。

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