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June 25, 2008

日本人はどこまで減るか

Jinkougenshou 日本人はどこまで減るか/古田隆彦

 幻冬舎 ISBN978-4-344-98084-6

少子高齢化社会といわれて久しい。2004年をピークに日本の人口は減少局面に突入した。著者はこの2つの事柄がさも因果関係のようにマスメディアで語られることに不満を持っていて、まずは少子高齢化≠人口減少の誤解を解くことからはじめる。単純に言えば、生まれる数より死んでいく数が上回れば全体数は減少していくという簡単なことであり、そのことは“少子化”とも“高齢化”とも直接的には関係がない。正しく言うなら“少産多死化”である。また、出生率のことをよく言われるが、これもギミックがあり、“率”が上がっても母数となる出産可能な女性が減れば、生まれてくる子供の数は減るのだ。まぁ、そんなことを言ったって日本人が減ってきているのは事実だし、これからも減っていくのは動かしようがない。国立社会保障人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口」によれば、3つの仮説の組み合わせによってシミュレートすると、日本の人口は今世紀末には最低で3770万人まで減少するという(最高でも6407万人)。

なぜ減り始めたか。生物学や生態学では、固体がその環境で生きられる数の限界を「キャリング・キャパシティー」と呼んでいる。この理論は人間にも適用されるのだそうで(「人口容量」という)、その意味で、日本(人)はキャリング・キャパシティーの限界に来ているということなのだ。人間の場合、個体数調整に向けて、動物とは異なり、生物的な抑制に加え、文化的・文明的抑止が働くという。具体的に言えば中絶であったり、かつての間引きであったり、楢山節考である。この話を読んでいてすぐ思い起こしたのは秋葉原の件だったりする。社会的なストレスに耐えられなくなって無作為に他者を巻き添えにして自殺する人間が出現してきているのは、実は遺伝子レベルでこのような人口抑制機能のスイッチが入り始めているのではないかとも思ってしまうのだ。

さて、人口が減ればいろいろ不都合なことが出てくる。どこもかしこも人手不足になる(いまですら不足気味な感じがするのに)。当然税収も低下するだろう。これまでの枠組みで運営されていたことが通用しなくなってくる。今ですら赤字を抱えて回しているだけだから、今後加速度的に悪くなっていくのは容易に予想できる。筆者は減っていく人口で今のGDPを維持することで再び人口が増加する可能性を説いているのだが、どこまで実現できるのだろうか。さらに、こちらの方がもっと絶望的なのだが、少なくなった人口で同じ経済力を維持できれば当然一人当たりの分配は増えるはずだから、今よりも暮らしにゆとりができて子作りしやすくなり多産が促進されるというのだ。昭和期の社会主義的利益配分システムならいざしらず、すでにその仕組みは崩壊し、格差は拡大している中で、結局効率化によって収益が確保されたとしても、それは一部の人間に厚く配当されるだけだ。そんなに上手くいくとは思えない。

有史以来、人口は増えたり減ったりしながらここまで膨張してきた。著者はこの増減現象を「人口波動」と呼んでいる。この現象を根拠として、減少局面に入った日本の人口も文明的な進歩(火の発見とか産業革命とか)によって再び増加に転じるのだという。しかし、ITやロボットが劇的に生産性を向上させるとも思えないし、技術進歩と言われてしまうとクローンニングによる増殖だったりDNA治療によるアンチエイジング(超寿命化)しか思い浮かばない。人間の生殖機能や生命に直接手を入れれば人口を増やすことは可能だろう。しかし、そこまでして増やすべきなのかどうかはまた別の議論がありそうだ。

先ごろ移民受け入れの法案が秋に国会提出されるといったニュースが流れていたが、後先考えずに単なる数あわせで入れて大変な目にあうのは国民だ。真っ先に治安の悪化が危惧されるし、今の失業者問題を棚上げにして外から安易に入れること自体問題がある。どうせ、国内企業の海外依存度はどんどん高くなっていくはずだから、集約型労働力はすべて国外でまかなえばいい。国内は収縮した人口に対する食物自給率をいかにあげていくかを考えるべきだ。どっちにしろ、地球全体で言えば90億人ぐらいまで膨れ上がるんだし、そのときの食料調達は相当困難なことになっているのだから、それこそ地球全体のキャリング・キャパシティーに左右されない固有の生存領域を今から確保しておくことが国家の最優先事項だと思うね。温暖化に伴い、生存環境もこれからもっと暑くなっていくわけで、南の方の食生活を基準としたフードシフトを今からお勧めしますよ。

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