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May 29, 2008

2008型FC東京を戦術から理解する

序盤戦(13節)を終了して勝ち点23は予想外のでき。
さて、何が起こったのかを杉山さんの影響を受けつつシステム論で理解してみる。
(長いのでたたみます)

城福さんは開幕戦で、これまでの東京のスタンダードだった4-2-3-1から、ボランチを1枚増やした4-3-2-1に変えてきた。単純に見れば、前シーズンの反省を元に、守備の人数を増やしてきたと受け取られてもおかしくはない。事実、オイラ自身もシーズン前の城福さんの発言からすると意外に感じたものだ。

2008年開幕戦 vs神戸(1‐1)
------平山-------
---エメ-----石川---
--今野--梶山--羽生--
長友--茂庭--藤山--徳永
------塩田------

守備から入るためにボランチ3枚なのかと思ったが、実際そうなのだが、でも、よくよく考えると非常に合理的なシステムであることに気づく。
ひとつはサイドの枚数。エメと石川が開くことによってサイドの人数は3人になる。4バックシステムのチームは通常2人なので、ここで数的優位を作ることができる。また、梶山をセンターに据えることでそれぞれのサイドへの関与をしやすくするとともに、彼を経由したサイドチェンジもスムースになる。開幕戦では羽生が高めに構えてチェイスしており(そのときは4‐2‐3‐1のように見える)、中盤の前目もかなり流動的だったが、基本は、奪ったボールをしっかりキープしてブロック全体を押し上げつつ、人数をかけパス交換しながら崩していくことを志向している。だから中盤はアタッキングサードの動きを引き出す意味においても3-2になっているのだ。

その後、エメ、ナオがリタイアするとシステムは4-4-2に変化した。

第3節 vs京都(3-3)
---赤嶺----カボレ---
-羽生--------大竹-
----金沢--今野----
長友--茂庭--吉本--徳永
------塩田------

京都は4-3-3。とにかくボランチのはげが効いていて、バイタルエリアを攻略仕切れなかった。得点はCKからが2点と、最後のどさくさ押し込みゴールだけ。いかにも4-4-2はバランスが悪かったように思う(次節も横浜に0-3と一蹴される)。ただ、カボレの調子が上がってきたことと、やっと赤嶺が力を発揮し始めたことは、けが人が続出したチームにとっても救いとなった。そして、第6節からは4-3-1-2を採用する。

第7節 vs川崎(4-2)
---赤嶺----カボレ---
------栗澤------
--今野--浅利--梶山--
長友--藤山--佐原--徳永
------塩田------

浅利をアンカーに据え、今野、梶山を前へ押し出す形。見方によっては中盤菱形の4-4-2でもあるし、守備隊形を整えてリスタートするときなどは栗澤がラインの右に入りフラットな4-4-2にもなる。赤嶺が1.5列目的に動くので1-2と2-1での明快な差はないと思われる。このゲームの4点目が今季目指そうとしている点の取り方だったわけだが、ポゼッションの状況ではシステムはあまり関係がない。誰かの開けたスペースに誰かが入ることを繰り返していくことが必要だから、自然とポジションも流動的になる。その意味で、浅利のアンカーは中途半端で奪われたときの保険といっていい。前節の緑戦における2点目(O.Gほぼ長友)もそうだったが、数多くパス交換に参加して攻撃のリズムを作っているのは間違いなく梶山だ。遅攻には梶山は欠くことができないが、同時に諸刃の剣でもある(名古屋、柏の連敗は、まさに止まった状態から動かなかったからが原因)。
それを強く感じたのが先のダービー第2戦だった。

ナビスコカップ第4節 vs緑(3-0)
---平山---カボレ----
------エメ------
--羽生--浅利--青野--
徳永--藤山--佐原--椋原
------塩田------

このゲーム、攻守の切替が非常に早かった。特に、攻めに移るときの前へ出て行く速さが違っていた。これはブルーノとエメルソンの併用がもたらした効果といえる。2人ともキープはできるがあまりこねない。動いて捌いて動くのがすごく上手い(エメはドリブルもすばらしいものがあるが)。相手DFがあまり整わないうちに攻め込むので、エメルソンも裏へバシバシパスを送り込むことができた。これが、梶山が入ると、梶山のところでいったんキープし、相手が自陣へ完全に引くまで時間をかけることが多い。相手の守備が戻ったところから攻めをスタートさせる。だから“ポゼッション”なんだが、攻撃の効率性からすると問題がないとは言えない。手間と時間をかけないほうがゴールの確率は高くなる、というのが現代サッカーの通説だ。ある意味これと逆行することをやろうとしている。速攻を否定したわけではなかろうが、それでも速攻のチャンスにもかかわらずブレーキをかけるのはどうかとも思う。そういうところは、やはり10番の出来次第ということか。

今週のサカダイで、序盤戦好調のチームを特集していたが、東京の分析は「気持ち」の変化が大きいとのこと。そうかもしれない。新しいメンバーが入ってきて、指揮官からはまず小平で戦えと要求され、温い所がキュッとしまっただけでもずいぶんと違うのかも。特に守備の集中力は昨年より格段にアップしていると思う。毎試合必ずといっていいほど危ないところはあるものの、ポカは確実に減ってきている。得点力についてはそれほど大幅な進歩は見られないが、カボレが本調子になれば劇的に変化するかも、という期待はある。しかも、点を決めたゲームに負けはないというのが今年のジンクスになりつつある。先制されてもしぶとく同点、逆転まで持っていくだけの粘りも出てきた。2009年からACLはリーグ3位も出場できることになったからには、なんとかしてそこまでいきたいものである。

最後に、最新のベストメンバーを選んでおこう。
2008年序盤戦のベストメンバー(電機ひつじバージョン)
---赤嶺---カボレ----
------エメ------
--羽生--今野--梶山--
長友--藤山--佐原--徳永
------塩田------
徳の右は揺らいでる。椋原でもかまわないかも。長友を右に回して左に金沢を入れることもできる。問題は、モニとナオだよね。東京の顔とも言えるこの2人がスタメンにいない事実をどう考えるかですよ。

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