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November 01, 2007

朧の森に棲む鬼

市川染五郎主演の劇団新感線の舞台を映画として収録。いわくゲキXシネと呼ぶそうな。劇場中継はNHK教育やWOWWOWでも見ることができるけれど、最初から映画のスクリーンを想定して録られたものだけに、TVとは比べものにならない迫力がある。映画だと役者の表情や細い仕草まで見せてくれるので、ある意味生よりお得かも。最期のライの表情をアップで見るなんて劇場では難しいんじゃなかろうか(最近の舞台は映像システム入れてたりするから違ってたらゴメンなさい)。

素直に面白かったです。

学生の頃は『第三舞台』すぐそばにあったんだけれど、なぜか避けて通っていたような気がする。嫌いではないが、あの独得な空気が馴染めなかったのかもしれない。有名どころの舞台はチケット取るのも大変だし、自然と離れていってしまった。とはいえ舞台に全く関心がないわけではなく、機会があれば是非観たいと思っていたところにこれが引っかかったという訳。木戸銭2,500円のところ、suika(pasmo)利用だと500円引きというラッキーおまけ付で開演ぎりぎりに滑り込む。3時間超という長丁場、最後まで集中力が持つかどうかと思ったけど、いやいやどうして、幕間休憩がもどかしく感じられるほど引き込まれてしまった。
Oboro 物語は、口先一つで人を騙し操つり一国の王にまでのし上がった男の生き様を描いている。主人公ライ(染五郎)は、自分の野心を達成させるために友情も愛情も憎悪すらも利用する。その悪だくみは徐々にエスカレートしていき、最初は小悪党程度だったライが次第に欲に捕われた鬼に変わっていく。最後は因果応報、ライが裏切った者達によって追詰められ“自分自身を殺す”羽目になるのだが、予定されたクライマックスに向かって話は畳み掛けるように気持ち良くすすんでいく。プロットがよく練られていて、流れにストレスを感じさせない。
人を陥れハメていくプロセスは探偵小説の謎解きに通じる楽しみがある。古くは『白昼の死角(高木彬光)』とか。知的好奇心を刺激するこれらのトリックに、人間の欲と業の深さを重ね合わせ、エンターテイメントに昇華させていく井上・中島の手腕はお見事という他ない。
役者の方も一癖も二癖もあり、本の魅力を最大限引き出してくれている。鬼へと変貌していく様を熱演した染五郎(第一幕の最後の見得を切るところは「高麗屋」って掛け声かけるところなんだろうなぁ)、いま旬の怪優阿部サダヲのすべるギリギリのパフォーマンス、劇団の看板俳優古田新太の存在感(2人とも役柄として“オイシイ”)。映画のような“4次元的表現”とは異なり、役者の表現力がものを言う(しかも常に一発勝負の)舞台は、金をバカスカつぎ込むハリウッドを見慣れている自分にはすごく新鮮に映った。なかなか生舞台は難しいが、比較的時間の自由が利くこのスタイルであれば、また違った演目を観てみたいと思ったね。

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