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August 18, 2007

「世界征服」は可能か?

Sekaiseifuku 「世界征服」は可能か?/岡田斗司夫
ISBN978-4-480-68762-3

おバカなタイトルにつられて買ってしまったが、これだけ回りくどいことをして、「悪とは、その時代の価値・秩序基準を破壊すること」という結論ですか(ヨミ様が過労死というのは発見でしたがw)。アニメや特撮のヒーローモノの「悪の秘密結社はなぜ世界征服をしたいんだろうか、この時代世界征服って本当にできるの?」という素朴な疑問が出発点とはいえ、もう少し奥深いところに言及できなかったもんだろうか。底が浅すぎる。

「悪」の概念は相対化されることは本書の中でも明確にされている。ここで問題なのは、価値・秩序基準が一元化されて語られていることだ。せっかくアニメ・特撮の世界を題材にしているのに、勧善懲悪モデルから、多元的世界観をスタンダード化したガンダムシリーズを、ザビ家を悪者にしてしまうことで既存のフレームに押し込んでしまった了見には全く納得行かないし、多様性を前提としていないところに論理の無理がある。世界はそう単純ではない。

アメリカを旗艦とする自由主義陣営にとってイスラムのテロリストや北朝鮮や共産主義者は「悪」であり、逆に彼らにとって帝国は自国の秩序・教義を脅かす「悪」そのものでもある。現代において、自由主義経済というドグマを全世界に敷衍しようとする帝国こそ、ここで言う「世界征服」を企てる首領ではないのか、と置き換えて考えると面白い。本書にも指摘があるように、征服者は忙しい。世界の揉め事を何でも治めなければならない。そのために、大事な直属の部下(国民)に犠牲を出してまでやり通さなければならないから大変だ。しかし、帝国の支配下にある部隊もうかうかしていられないのだ。使えない部下だと首にされてしまうかもしれない。最後のチャンスだといって、結構厳しい命令を下され、遂行するにしても犠牲を払い、できなければ殺される、なんてことのないようにしないといけない。

全ての価値・秩序基準を一元化していくこと。それが世界征服のひとつの形であるならば、それは不可能に近い。しかし、どんな国の人々にも共通して持ちうる価値観はいくつかある。その究極は地球環境を維持するということだ。人間が住めなくなる環境に地球を変えようとするのは、人類に対しての「絶対悪」である。その悪事を人間そのものが働いている。この時代は大いなる矛盾をはらんでる。人間が「悪」であれば、それは滅ぼされなければならない。
「地球を壊滅させるのに暴力をふるう必要はない」とメトロン星人は言ったが、気の長い侵略者なら、待っていれば勝手に人類は自滅して何の苦労もなく地球を手に入れることができるかもしれない。人間が住めなくなった地球をどう使うかはまた別の問題ではあるのだが…。

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