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July 28, 2007

あの戦争になぜ負けたのか

Im000020_2あの戦争になぜ負けたのか
半藤一利/著 保阪正康/著 中西輝政/著 戸高一成/著 福田和也/著 加藤陽子/著
文芸春秋
ISBN978-4-16-660510-1

保阪氏、福田氏も参加して6人の識者による対談形式で負けた原因を探っていく。いくつかの切り口によって「なぜ」を解読している。読みやすく、文中用語の注釈が同じページに掲載されているのでページをめくる面倒がない。昭和初期史をざっとおさらいできる。

多面的な検討が加えられているが、オイラ的な理解として、組織が属人的にかつ情緒的に運営されていたこと、突出した考え、行動に対する牽制・抑止力が失われてしまったこと、明らかに世界情勢を読み違えたことが大きな要因ではなかったかと。三国同盟にロシアが加わるなどありえないのに信じてみてしまったり(ドイツにうまく利用されてしまった)、自分の都合のいいように物事を考えてしまうのは、異文化に対するコミュニケーション能力が低かったからで、これはずっと島国で鎖国していた地勢的な問題が大きいように思う。国家として正しい情報を収集して、冷静に分析して、最適な方向性を判断する力が欠けていたということだ。今の日本にこういった力がどれだけあるのだろうか。一抹の不安を覚える。

なぜ負けたかといえば、「アメリカが強かったから」よりも、「ほとんど自滅」に近いように思える。勝てる見込みは少なかったけれど、流れからやむを得ず突入してしまった(米英から戦争せざるを得ない状況まで追い込まれてしまったという方が正しいか)のが実情で、それゆえに長引く事を想定していなかったし、落とし所も用意していなかった。敗戦へと転がりだすきっかけとなったミッドウェーあたりで停戦を言い出す人もいなかった。なにせ大負けした事を海軍は隠しちゃったんだから始末に悪い。この隠蔽体質は最後まで続いていく。始めたところで、すでに負けるべくして負けていたというわけだ。

実際の現場においては、大量生産×マニュアル化によって習熟度の低い兵士でも一定以上の戦果をあげることができるシステムを戦場に築き上げたアメリカに対して、兵器は手づくり操作は熟練兵士の一物一品者で戦いに臨んだ。そういった人たちがいなくなるに従い日本の戦力は極端に低下していく。物量に対して精神力で凌駕するといった考え方が、実効的戦力差を見誤らさせ、多くの悲劇を生む遠因ともなった。

この本の記述の中で意外だったのは、日本軍の戦いっぷりが半端じゃなかったために、終戦後も日本に対してだけは手を出さない方がいいという認識が各国に根付き、抑止力になっていたということだ。精神力での戦いは、戦局を打開するには何の効力も持たなかったが、後世にこんな影響及ぼしていたとは思わなかった。

その一方で、後から行くからといって送り出しておきながら、責任を取ることもなく戦後ものうのうと生き抜いた人間が結構いるという。いくら優秀な人間の多くが戦争で失われていたとしても、そんな責任感のかけらもないような人間を国政の場に復帰させてしまった国民もどこか狂っている。過去をしっかり評価し、なぜそうなったのか反省すべきところは反省し、同じ過ちを繰り返さないというのが大人というものだろう。

安倍何某はその尻尾なのだよ。

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