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January 05, 2007

硫黄島からの手紙

Ioujima_1 悲惨な硫黄島攻防戦の歴史的事実に基づいた作品。敗北間違いなしという運命を受け入れつつ、最後の一兵まで抵抗を続ける栗林中将と一兵卒西郷の2つの視点で物語は進行する。太平洋戦争における大本営の愚や戦場における人間性の喪失など、ありがちなテーマを丁寧に追っていく。ハリウッドが手がけたということを割り引いてもよくできた作品。しかし、日本人は国内批判が怖いのか作らないし作れない。

小学生の頃、何故かは分からないが父親に連れられて当時公開されていた硫黄島攻防の記録映画を見に行ったことがある。火炎放射器をやたらと使っていた映像だけが記憶に残っている。民間人のいない太平洋の孤島は、まさに誰にも迷惑かけずに好きなだけ戦争ができるロケーション(不謹慎かな)だったに違いない。本土爆撃を少しでも遅らせるためという大目的はあったにしても、大局に影響はなく、まさに犬死だったわけで、彼らは何をモチベーションに最後まで戦ったのだろうか。今の日本人にそんなメンタリティなど存在しない。戦争における現実をリアルな映像にすることで生理的に悪であることを植えつけることは教育的な価値があるかもしれない。でも、誰もがいけないと思っていながら現世では今も戦争が起こっている。正直この手の映画はもういいな、と思った。必要ない、意味がないというわけではないが、どこかで諦観してるのかもしれない。誰かの何かのきっかけであればいいのだろう。

さて、テーマは置いといて、映画としての見所はキャスティングの妙ではなかったか。現実主義の実務家=渡辺謙、学の薄い小市民=二宮和也、インターナショナルアスリート=伊原剛志、ヘタレ将校=中村獅童。みな(演技にむらはあったが)いい味出していた。特に獅童はプライベートがダブって思わずにやり。

全体的には変なお涙頂戴がなかっただけよかった。これもハリウッド仕立てゆえか(ハリウッド特有の説教くささもない。これはイーストウッド監督の特質だろうか)。わざと色彩を押さえた画質といい中身といい、カサカサに乾いた映画だったな。

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