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September 29, 2006

ローズ・イン・タイドランド

ブラザーズ・グリムを観にいけなかった。テリー・ギリアムといえばオイラの中では「12モンキーズ」なのだが、あの世界観は嫌いじゃない。この作品も監督から入っていった。実にめっけもんである。(ネタバレ注意)

ローズ・イン・タイドランド

とにかく主演女優であるジョデル・フェルランが素晴らしい。彼女の表情を追っているだけでドキドキする。鏡に向かうシーンなんて、色っぽくて欲情しそうになってハッとする。11歳にしてすでに”女“を演じてる。ディギンズをたらしこもうとするとこなんぞは、まさに小悪魔。「4人の友達」を演じ分ける演技力といい、末恐ろしい子役だ。
彼女演じるジュライザ=ローズは、子供の純真さと大人の狡猾さを併せ持つ妖精のような女の子。相当すさんだ環境と不幸な境遇の下でも、それらを意に介さずマイペースで生きている。彼女はイノセントな存在であるのだが、決して清廉ではない。むしろダークな部分を自然に取り込んでいる。そりゃそうだろう、パパにヘロインの注射器を用意してあげるのが日課なのだから。物語に登場する4人の大人たちは、皆壊れている。ローズのパパとママはジャンキーだし、パパのおばあちゃん家の隣人であるデルは死者が蘇る事を信じている魔女だし、その弟ディギンズは知恵遅れの若者で、大地を海に見立て潜水艦を駆り、いつかモンスターシャーク(列車)をやっつける事を夢見ている。彼らの捻じ曲がった価値観で形成されるローズを取り巻く世界は、まさにバッドトリップ。大人のおとぎの国。だが、その中に入ってしまうとそれが常識化してしまう不思議。このへんがテリー・ギリアムの真骨頂といったところか。我々も知らないうちに精神の散歩に連れ出されている(ローズのパパは散歩に行ったきり帰ってこなかったけどね)。世界に入っていくほどに、かなりグロテスクな表現も当たり前のように思えてくる。純心の美しさと残酷は表裏一体であり、また生と死の境界もこの世界では曖昧なものになる(デルのつくる剥製はその象徴だろう)。そのたそがれの中で無邪気に遊ぶローズとディギンズに、ほのぼのとした感情が湧き上がる。しかし、楽しい時間もいつかは終わるのだ。ラストシーン、自分ひとりだけが現実に戻っていくローズのしたたかさに、また背筋がぞくっとなった。

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