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July 06, 2006

欲張りな人生  ナカータ引退に思う

ナカータの人生ほどうらやましいモノはない。10代から早くも自分自身のキャリアパスをイメージし、その通りに人生を運んでいる。こんなことが出来る人は身近な人ではお目にかかったこともない。誰しも夢を持っているし、いつかはそうなればいいと思っている。が、大半の人は思っているだけか、努力はするものの報われない人ばかりだ。たまさか成功したとしても、そこに至るまでには山谷があっただろうし、これほど他人から見て順調な人生もないだろう(彼には彼にしか分からない苦悩とかはあるんだろうけれどね)。

29歳といえばまだまだ出来る年齢。でも、モチベーションを喪失してしまってはね。周りの反応を見ていると、「あなたは本当はもっと出来る子なのに」といって子供を無理やり頑張らせている親みたいだ。幼子ならまだしも相手は大人も大人。言って聞くわけもない。サッカーはワンノブゼムではないといいつつ、いともあっさりプレーヤーとしての地位を捨ててしまうクールさは、中田英寿というパーソナリティの真骨頂。凡人ならしがみつきそうなところをばさっと切ってしまう潔さ。これがかっこよく映る人もいるのだろう。でも、ナカータにとっては至極合理的なことなのだと思う。ピッチでするように、彼は自分の人生の先を鶏の首のようにキョロキョロ振りながら見回している。自分をもっと成長させてくれる何かを探している。人生はひとつではないし、本来は自分の考え方次第でどうにでもなるものだ(人生は一度しかない事を強く認識しているように感じる)。いくつもの人生が存在しているなら、なるだけ多くの経験をしてみたいという欲求は理解できる。ただ、そのためには金と自由になる時間が必要なわけで、彼はそれを得るためにこの10年走ってきたのではないだろうか。嫌な言い方かもしれないが、もしかしたら、サッカーは目的ではなく手段だったのかもしれない。彼が希求する人生の快楽に向けた助走期間にしか過ぎないのかもしれない。恐るべき才能、そして、なんとも贅沢で欲張りな人生ではないか。

一部で“イチローになれなかった”みたいな表現を目にしたが、そもそもナカータ=旅人はイチロー=求道者ではないのだから、なれないし、ならない。おそらく、周りにいる選手たち=サッカーしか出来ない人間は彼との間にある目に見えない溝を感じていたんだと思う。オイラ自身はサッカープレーヤーとしてのナカータ以上に人間中田英寿の方が興味がわく。彼が次にどこへ行くのか、とても楽しみだ。

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