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October 06, 2005

シン・シティ

sincity フランク・ミラー原作のコミックの実写化、と言われても何のことか良く分からない。アメコミについての知識は皆無。ただ、映画の成り立ちはまさにコミックだった。これを面白いと思えるオイラは、やっぱり漫画好きなんだなと思う。(この先ネタバレあり)

監督はロバート・ロドリゲスなんだが、タランティーノがゲスト監督に入ったために、タラ的エッセンスがそこかしこに散りばめられていて、タラ好きには結構ビビッとくる作品になっている。

モノクロをベースとした画面は立体感を無理やり抑えられ、まるで漫画のフレームのように見えてくる。ポイントで挿入される原色は、平面世界を逆に強調する効果を持っていた。

その中で展開されるバイオレンスは、相当強烈でグロすぎるという評価もあるが、好き嫌いの分かれるところだろう(ケビンのエピソードは全体的に倒錯しているので、一番キツイ)。ただ、オイラ自身は、生理的な嫌悪感を引き起こすまでには至っていないと感じる。それは、コミック的な映像手法によるところが大きい。手や足を吹き飛ばされるシーンは妙にさめていて、返り血の赤だけが強調され、手から吹き出す血は白く処理されている(まるでエイリアンがやられたときのように見える)。実写のリアリティを逆にコミック化させることで上手く喪失させているのだ(リアリティを生み出そうと四苦八苦している作品が多い中、なんと贅沢な)。確かに、これをフルカラーでやってたら相当グロかっただろうと思う。

さて、ストーリーの方は単純明快。街を支配するロアーク一族の悪事に完全と立ち向かう3人の男たちとそれを取り巻く女たちの物語。ある意味正義という概念は存在していない。生き延びるために、やるかやられるかが日々繰り広げられている。その中でハーティガン(ブルース・ウィルス)の存在は唯一の救いだったが、それも最後は愛を貫くために自ら命を絶ってしまう。女のために命をかける男たちの姿はかっこよくもあり、なぜかせつなく哀しく見える。ジーンとくる映画だ。

3人の男たちにつながりはない。ベイシン・シティという街を舞台にそれぞれがロアーク一族という脅威と対峙する。3つのエピソードがちょっとづつ重なり合いながら展開される。

冒頭、ハーティガンがロリコンサディストのロアークJr.から11歳のナンシーを助けるところから話はスタートする。ところが、いきなりハーティガンは殺されてしまう。で、マーヴのエピソードにいきなり転換。このへんはパルプフィクションを見ているかのようだった。

見終わるまで(見終わっても)ミッキー・ロークがどこに出ていたのかが分からなかった。それだけマーヴの特殊メイクは完璧だったわけだ。マーヴ(ミッキー・ローク)は、愛した女の復讐の為に戦い、最後は電気椅子送りになる。しかし、彼の表現した純愛は全ての暴力を凌駕する。

次はドワイト(クライブ・オーウェン)のエピソード。悪徳警官と娼婦とのトラブルから昔のイロのために街を守る前科者の話。ここでは、殺人マシン“ミホ”が登場。卍手裏剣を投げ、2本の日本刀で切りまくる。ここにも“キルビル”の影が…。ベニチオ・デル・トロは悪徳警官ジャッキーボーイの首から上を好演(爆)。最高に可笑しかった。が、ただのギャグにはならないところが素晴らしい。

そして、最後にハーティガンのエピソードに戻っていく。ブルース・ウィルスも抑えた感じでいい演技が出来るじゃないですか。というか、キャラの方が勝ってるんだろうな、今回は。彼独特の個性をはさむまでもなく、ハーティガンというキャラそのものに訴える力があったのだろう。ナンシーもかわいくイロっぽくいい女。ハーティガンが19歳のナンシー(ジェシカ・アルバ)を見つけたシーンだけが淡く画面が揺らいで全体の色調が戻ろうとしていた。まるで、2人が現実世界に実体化しようとするかのように。にくい表現だったなぁ。また、ハーティガンがキスから無理やり彼女を押し返すシーンなんかはグッと来たね。カリオストロなんか思い出しちゃったりして。

役者の熱演、シンプルながら奥が深いテーマ、テンポの良いシナリオ、そしてタラ的ディレクション・ワーク(いや監督はロドリゲスなのだが)。平面から立体化されたにもかかわらず平面的なこの世界観、オイラ好みである。さっそく“2”も用意されているらしい。次はどんな愛の形を見せてくれるのか楽しみだ。

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