« 柏4-2FC東京 | Main | 今週のサカダイ »

September 06, 2005

七人の侍

3時間27分、ディスク2枚にわたる長編にもかかわらず、ストーリーを知っているにもかかわらず見入ってしまう、この作品はやっぱり化け物だ。監督自らが語るように、世界中の誰もが見て分かりやすく、映画の世界観を共有し、登場人物に対する感情移入が抵抗感なく自然に出来る映画は無敵であり不滅である。この映画にインスパイアされ生み出された数々の作品群がそのことを証明している。

農民が武士を雇うというこれまでの時代劇にはなかった斬新な設定、7人の個性あふれる侍たち、男と女の問題、そして現代社会にも通じる2つの勢力の対立と矛盾。これらのコンテンツを当時としては画期的なマルチカメラで追い、躍動感あふれる娯楽映画として纏め上げている。監督はこの映画を「ステーキの上にバターを塗ってさらにうなぎを乗せたようなこってりとした映画」と表現している。まさに、美味しいものがたっぷり詰まった作品。通常、旨いもの、こってりしたものを食べ過ぎると飽きが来るものだが、いやいやこれなら裕に完食である。個性の強いものがぶつかり合うことによって新たな旨みを生み出している。

特に農民と武士とを繋ぐ、物語上最も重要な役回りを与えられた菊千代を演じた三船敏郎は最も輝いていた。燃える水車小屋の前で赤子を抱え「こいつはオイラだ」と叫ぶ菊千代。そして銃弾をあびながら敵を倒して前のめりに無言で倒れる菊千代。余計な演出は全くない。剣の達人である久蔵=宮口精二も一発の銃弾にあえなく倒れる。過剰演出の現代ドラマに対して、あっけないほどの死に様。しかし、その淡々とした描写が逆に彼らの死の重みを見る側に深く刻み込む。そういえば、命を落とした4人とも種子島で撃たれている。それだけ彼らが優れた剣客だったということの表れでもあるのだろう。徹底したリアリズムの追及こそが共感のベースを築き上げている。

農民の窮地を見かねて7人が集まってくる。7人がそれぞれ過去を持ち、それぞれの思惑で戦いに参加する。物語で深くは語られないが、見ている側は彼らの言動からいろいろな想像を膨らませる。しかし、彼らに共通するのはどこか満たされないまま人生を歩んできたことだろう。金持ちの豪族の家に生まれたにもかかわらず家を飛び出してきた勝四郎、優れた剣の腕を持っていながら仕官の口もない久蔵、負け戦続きの勘兵衛に七郎次、そして捨て子の農民菊千代。彼らの人生に対する諦めきれない思い=しぶとさが、今に生きているオイラを勇気づけてくれる。生きる意味を考えさせてくれる。そして、「また生き残ったな」という勘兵衛は、「また負け戦だった」「勝ったのは農民だ」と呟く。この科白はオイラの仕事に対する痛烈な皮肉に聞こえてしまうのだ。

この映画を見ていて、ふとスター・ウォーズを思い出した。個性あふれるキャラクターや善と悪の2項対立、父と子、男と女、さまざまな要素が銀河系宇宙をバックにCGという技術によって織り成されているこの映画は、まさに7人の侍のエッセンスを受け継いでいるのではないかと。当然のごとく、ルーカスも黒澤明の影響を受けているのだろうな。

ツイ・ハークの「セブン・ソード」も観てみたいものだ。サムライ7もなんとかしないと。

|

« 柏4-2FC東京 | Main | 今週のサカダイ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77466/5808119

Listed below are links to weblogs that reference 七人の侍:

« 柏4-2FC東京 | Main | 今週のサカダイ »