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June 30, 2005

リーグ再開に向けて(システムの話)

今年の目玉だった4141システム(あるいは4-1-2-3)。開幕こそアルビを血祭りに上げたが、その後は引き気味の相手を崩せず、中盤省略のサッカーに苦戦し、前掛りになったところをカウンターでやられたりして、ディフェンスラインの故障者が続出したことも相まって連敗街道を突き進んでしまった。今野がいるからこそ踏み切ったという原さんの言葉とは裏腹に、前線のスタッフはゴールという使命を完遂することができず、逆に今野の負担が大きくなりすぎて中盤のバランスを保つ事ができなくなっていた。

昨年一昨年の東京のサッカーを支えたのはやはり守備だ。堅守速攻。中盤高い位置で奪ったボールをすばやくサイドへ展開し、手数をかけずにゴール前、というのがコンセプトだった。それを一歩進め、ゲームを支配しながら決定力を上げていくチームを構築しようとしたことは評価される事だと思う。攻撃こそ最大の防御。ボールを相手に渡さない限り、攻められることはない。しかし、かつての読売や全盛期の磐田のようなサッカーを展開するにはまだまだタレント不足の感はぬぐえず、また、ピッチにおける選手相互のコミュニケーションも上手くいっているようには見えなかった。負傷者が増えるたびに、それは深刻化していった。今野という逸材が手に入ったからといって、彼一人でガラッとチームが変わるわけもない。むしろFWの強化がおざなりにされ、FWに依存しない点の取り方について突き詰められなかったところに問題がある。チームの重心が前に移ったけれど、突き抜けることができず、その反動をモロ喰らった形だ。そこで点が取れていれば、という試合が何回あっただろうか。結局、前半戦の苦戦の原因は全てそこに帰着するのである。

これまでは、馬鹿の一つ覚えのようにナオのクロスにルーカスや戸田が詰めるパターンで得点してきた。ところが今年に入って(というか去年の後半ぐらいから)まともなクロスが上がってこない。相手方が東京の右サイド封じを考えて実行してきているからだが、攻める側としての工夫が足りないのも事実だ。確かにスペースは埋められているケースが多い。それでも、ケリーがいた時は、ケリーが支点となって石川、加地の3人で局面を作れていた。しかし、今は中央のサポート、キープ力が薄いために、ナオが単騎勝負をかけるケースが多いように思う。ナオが中に切れ込んでシュートを見せるが、このパターンも成功率が低い。取られてカウンターというのも少なくない。石川が生きないから加地も死んでしまうのだ。

もっと前線の3人(たいていはルーカス、石川、戸田だが)が相互に関係しあって前線だけでも攻撃をコーディネートしていかなければならなかったのだが、どうもこの3人の相互連携が上手くいっていなかった。特にナオのポジションが問題で、右に大きく張り出しすぎてしまうと、中盤と前線との距離が開き孤立してしまう。敵のポジションとも関係してくるが、ルーカスや中央との関係をもっと考えなければならなかった。つまり、右サイドのスペースをどう作るかということだ。これには加地も絡んでくる。

また、戸田も守備への貢献のほうが大きくて、フィニッシャーとしての怖さやツボみたいなものを感じさせてくれなかった。彼の持ち味はDFラインの裏へのすばやい飛び出しだが、ラインが下がってしまっては彼の活躍の場も限られてしまう。

中盤高い位置での攻防をイメージした4141も、結局相手の引きこもりを促すだけで、ポゼッションは高まったが攻守の切り替えスピードは遅くなってしまった。こんな状況で、中盤で不用意にボールを奪われれば、薄くなった中盤をいいように使われてしまう。失点はなにもDFだけの問題ではない。むしろ、ボールの出所をどう押さえるかの方が重要で、MFのディフェンスが最終ラインの負担も減らしているのだ。同じ“451”でも中盤の位置取りによってこうも変わってしまう。サッカーにおいてシステム論議がなくならないのは、まさにこういった事象が現れるからでもあるのだろう。

さて、ルーカスが負傷し、ユウスケではボールが納まらないことが数試合も使って実証された。そこでやっと原さんは442という答えを導き出したが、これも正解というわけではなかった。フラットな3ラインを保てるほどDFラインは上げられていない。ボランチを明確にすると、今度はトップ下のエリアをどう使うかが問題になる。特にナオが右サイドに開き気味の東京のシステムだと、真ん中のスペースを誰がどのように使っていくかを考えないと、2トップが機能しなくなってしまう。ユウスケがポストっぽく受けて、その周囲を戸田が走るという形になるのだが、ユウスケが前を向けるシーンは少なく、戸田がスペースに飛び出すのにもパスの出し手がいない。ユウスケがラストパスを出せるとも思えない。宮沢がボランチというのが一応の解なのだろうが、宮沢のポテンシャルにも限界がある。もし、442でこのまま行きたいのなら、できれば2列目の中央を絞った形にして、栗澤と小僧あるいは陽平を置くのがいいのではないだろうか。442であれば、ナオを外す手もありだ(加地の上がりを促す4222)。

戸田 … 近藤ュ

栗澤 ……… 梶山

 宮沢 … 今野

金沢…茂庭…醤…加地

   土肥

また、戸田が前線に張り付くため左サイドの守備力が低下していることも見逃せない。ナビスコ千葉のアウェーでの3点目などは戸田が2列目にいれば防げていたかもしれない点だった。ならば、小僧を前へ出してユウスケと組ませ、2列目に飛び出せる戸田、パスが出せる陽平を置いたほうが機能しそうな気もする。

小僧 … 近藤ュ

戸田 ……… 梶山

 宮沢 … 今野

金沢…茂庭…醤…加地

   土肥

いずれにしろ、石川が入る事によって東京の攻撃バランスは偏らざるを得ない。石川がもっとシューターとしての意識を強く持ってくれれば、おのずとプレーエリアは中によってくるはずだし、その動きに相手DFが引っ張られる事で加地の上がるスペースもできるはずである。後半、東京の左サイドを金沢が上がり、それを今野がサポートするケースを良く見かけるが、もともと左サイドは空白地帯な訳で、スペースのないところでいくらやっても今の東京には活路は見出せないのだ。

ルーカスが戻ってくれば、システムもワントップに戻すだろう。それも、攻守のバランスを考えれば4-1-4-1ではなく4-2-3-1に戻すと思われる。となれば、トップ下に誰を入れるか。興味はその一点だけといってもいい。そう。そのポジションはオランダでの出来を見れば宇宙人以外にないのである

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