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February 21, 2005

ボーン・スプレマシー(ややネタばれ)

bourne「ボーン・アイデンティティー」は観ていない。しかし、webサイトのいろいろな素人評を読みまわるとあまりできは芳しくなかったようだ。共通しているのが原作のよさがまったくなくなっているというところ。原作のあるスパイものか。原作の評判が高いほど映画化は難しくなるのが世の常。このシリーズ(3部作だそうだ)もご多分に漏れずといったところか、というぐらいの認識だったので、見に行くのもどうかと思っていた矢先、今作「ボーン・スプレマシー」の評価が高い。うぬ?これは一体どうした事か。その真相を急に知りたくなって観る気になったわけ。

観てびっくり。スパイものの王道を行くストーリー展開じゃないですか。組織内に裏切り者がいて、主人公はその罠に嵌められて組織に追われることになるが、きわどいところで危機を回避し、黒幕に反撃を食らわす。この様式美とも言えるストーリーの構造。引き込まれないわけがない。前作はおそらくこのクライマックスに結びつけるための前振りに過ぎなかった、だから消化不良だったのではなかろうか、とも思えてしまう(アイデンティティの方も観てみたくなった)。謎を解く鍵は、失われたボーンの記憶にある。観客は彼とともにその記憶をたどっていくのだが、たどり着いたその先に、事件の真相とオリジナルなジェイソン・ボーンの一部を見つけることになる。
作品世界の設定や人物の相関などはわかりやすく、まさに「一期一映」の精神にぴったりはまる作品だ。ナポリやモスクワでやらかす鬼ごっこは相当お金が掛かっていて気持ちいい。特にモスクワのカーチェイスは久しぶりに力が入っていた。ロシアもあそこまで撮影協力するんだから素晴らしい(それに比べて日本は…。お隣韓国ですら映画を国が保護しているのに)。
ストーリーのドキドキ感をさらに硬質なエンタメに昇華しているのは、マット・デイモンのクールな存在感と、人格を持つカメラワークによるところが大きい。マット・デイモンという役者自体の魅力は良くわからないが、この作品に限って言えば「カッコいい」。ちょっとした顔の不細工さが戦闘マシンとしてのリアリティを生み出している。あるときは冷徹な殺人者として、あるときはナイーブな青年として、混乱する記憶に悩まされるボーンの不安定さを上手く表現していた。もうひとつの要素はカメラワーク。俯瞰や遠景を極力排し、登場人物の視点、あるいはそこに非常に近い人物からの視点を使って撮影することで、臨場感を生み出そうとしている。だから、画像はかなり激しく揺れるのだ。映画全体のトーンはクールだが、カメラがそこに動的な要素を加える事で、これまであまり観た事のない作品の世界観を構築している(褒め過ぎか)。
さて、シリーズ最後はジェイソン・ボーンその人のアイデンティティーを見つける旅になりそうだ。自分が暗殺したロシア高官の娘に、自分が殺した事を告げに行くボーンの本質にどこまで迫れるか。スパイ・サスペンスというよりは、なにか人間ドラマのような匂いが今から強くしてくる。

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